2008年09月02日
『年俸5億円の社長が書いたお金を生み出す知的生産術』
平 秀信著 2008年9月16日発行 1365円(税込)
どのようなジャンルについて書かれているか一言でまとめるのは難しい本です。仕事術、営業、マーケティング、人生論、幸福論、お金、人間関係、自己啓発、そしてわずかですが女性のことについても書かれています。
著者はコピーライティングも十八番なので、本書には内容とその表現手法が一体になった刺激的な面白さがあります。著者はかの有名な神田昌典氏のお弟子さんであり、過去に『凡人の逆襲』という共著もあります。最近では著者も同じくらい有名なられているかもしれません。
著者の本を読んでいると仕事がしたくなってくる、もっと厳密に述べると何かを売る仕事がしたくなってくるように思います。おそらく著者がビジネスを楽しんでおられるからでしょう。本書を読むと著者の人生とビジネスが一体になっていることがわかります。
著者は「成功者の条件5箇条」として以下のことを挙げています。
- 変わることを恐れない(環境も、自分自身も)
- 勉強熱心である
- 積極的である
- 素直である
- たとえネガティブな状況でも、前向きな言葉を使う
以上の条件はおそらく著者がもたれている性質そのものだと思うのですが、本書を読んでいるそのことが本文と行間から伝わってきます。本書を読むとビジネスをしてみたくなるのは著者の文章力もあるとは思いますが、行間から伝わる雰囲気に伝染するということもあるようです。
本書には著者のメンターのエピソードが出てきます。著者はメンターに恵まれていると思うのですが、積極的に自ら求めていることと、素直であるという二つの条件がよい縁を創り出しているのでしょう。
著者の中にはビジネスの成功で必要とされるエネルギーがスムーズに流れている印象を受けます。おそらく、著者が実践されている方法を生き方のスタイルも含めてそっくり真似をすればかなりの高い確率でビジネスでの成功が得られるのではないでしょうか。
スタイルを真似ているうちに内面的なものも習得できるのでしょうが、そのまま真似るということにはかなりの素直さが要求されるので、自我が強すぎると邪魔になるかもしれません。自我が強すぎるとエネルギーがスムーズに流れませんが、そのことはビジネスにも当てはまるようです。
本書には著者の20年以上にもわたるサラリーマン時代の努力と苦労の話が出てくるのですが、その時代があるからこそ今の状態があると思われます。著者の話から芥川龍之介の『仙人』という小説を思い出します。この小説はリンク先の青空文庫で直接読めますが、素直さと信じることののパワーを寓話化したものであると思われます。