2008年09月05日

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『儲かる会社はこうして作れ!』3

木下 晃伸著  2008年9月1日発行  1365円(税込)

儲かる会社はこうして作れ! 1000社徹底取材でわかった「企業を強くする4つの条件」 (講談社BIZ)

著者はもともとファンドマネジャーとアナリストをされていた方で、1000社以上の企業訪問による取材経験のある方です。それらの経験に基づいて、儲かる企業の条件を述べています。

本書のタイトルからすると、中小企業向けの本のようにも思われますが、本書で例として採り上げられているのは、ほとんどが有名な大企業です。



本書で採り上げられているのは、ソニー、ソフトバンク、ファーストリテイリング、任天堂、トヨタ自動車、花王、信越化学工業、オリックス、ユニ・チャーム、リクルート、日本電産など勝ち組企業の代表としてよく話題になる企業です。

それぞれのエピソードは有名なものもあり参考になると思うのですが、これらの企業が勝ち組になっているのはさまざまな偶然が積み重なった結果もあると思います。

企業経営のみならず、さまざまなことの成功の理由については後から振り返るとそのストーリーは必然であったように説明され、説明された方も納得してしまうのですが、おそらく数多くのコントロールできない部分での巡り合わせも大きな比重を占めているように思います。

結婚して結ばれたカップルの出会いから結婚までの話や成功した人の話を聞くと一つの完成されたストーリーとして話されることが多いのですが、おそらく両方ともさまざまな偶然の積み重ねによりその状態に至っていると思われます。

人間は過去の出来事については、因果関係を通じて理解するため、偶然の要素が強かったであろうものを必然の流れとして解釈しがちです。

成功企業と同じように考えて行動していたにもかかわらず、大成功を収めることができなかった企業は数多くあることでしょう。そして将来も成功企業を真似て経営したにもかかわらず成功できない企業は少なからず生じることでしょう。

成功企業が有している特徴を経営に取り入れると成功する確率は上がるでしょうが、大きな期待をしているほどには上がらないかもしれません。

経営者が株主に対してIRを行うときには、企業の発展が必然であるかのように話をすることが多いと思いますが、経営者が説明するように順調に企業が成長することはそんなにはありません。本来企業の経営は人生と同じように、完全にはコントロールできないものです。

しかしながら、経営者は企業の発展が長期的には必然であるかのように株主に対して話をします。経営者はそのように思いがちなバイアスがかかるでしょうし、株主も自分が投資している企業についてはそのような説明を聞きたがります。

業績がよい企業が成功している理由はいくらでも見つけられるでしょうし、業績がよくない企業の失敗の理由も数多く見つかることでしょう。男女がうまくいっているときはお互いのよい点はいくらでも見つけられますし、別れたカップルはお互いのよくない点を数多く指摘できることでしょう。

そのように考えると、よい点、悪い点というのは全体の目に見えるほんの一部を過大に評価していることになるのかもしれません。

ジョハリの窓」を参考にして、企業の成功の理由については例えばアナリストとの関係で考えると、以下のように分類できます。

  • 経営者とアナリストに両者が分かっている部分
  • 経営者のみが分かっている部分
  • アナリストのみが分かっている部分
  • 経営者、アナリストとも分かっていない部分

アナリストが会社訪問をして経営者とディスカッションをする意味は、「経営者のみが分かっている部分」と「アナリストのみが分かっている部分」を確認し合うことにあると思うのですが、この中で圧倒的に大きな比重を占めるのは最後の「経営者、アナリストとも分かっていない部分」かもしれません。

男女間については意識できない部分が相性のかなりの比重を占めていると思うのですが、企業が成功するしないの違いも実は意識されにくい要因が大きな比重を占めているように思われます。

将来性のあるよい企業を見つけて株式投資でよいリターンをあげるのが難しい理由の一つには、企業の業績を決める要因が意識されにくいものであり、企業の将来性を全体からすると少ない部分である意識できる部分のみで判断をしないといけないからです。

もちろん意識できる部分もあると思いますし、本書にはその意識できる部分が成功例とともに数多く書かれており、その部分に関しては参考になると思います。



investmentbooks at 23:43│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経営 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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