2008年09月08日
『会社のお金はどこへ消えた?』
児玉 尚彦著 2008年8月28日発行 1575円(税込)
会社のお金はどこへ消えた?―“キャッシュバランス・フロー”でお金を呼び込む59の鉄則
それほど期待せずに読んだのですが、なかなか素晴らしい本でした。中小企業経営におけるお金の大まかな流れや、落とし穴のほとんどが平易に解説されています。今まで読んだ中小企業向けの経営の本の中で一番くせがなく、お金の流れについて必要十分なことが書かれているかもしれません。
本書に匹敵する本では岡本史郎氏の『会社にお金が残らない本当の理由』がありますが、本書の方が無難にまとまっています。どちらを好むかは、個人の好き嫌いによるところが大きいでしょう。どちらも中小企業経営においては役に立つ本です。
各章のタイトルは以下の通りです。
- 会社のお金はどこへ消えた?
- なぜ、売上が増えてもお金は足りないのか?---売上とお金
- お金が漏れる穴にフタをする---費用とお金
- バランスシートを動かすとお金が流れる---財産とお金
- 無借金経営は本当に理想か?---借金とお金
著者のあとがきによると、「1000人以上の社長のお金のノウハウを、約10年かけて蓄積した成果が、この本」だそうです。著者は税理士をされており、「経理合理化プロジェクト」を発足されています。
本書ではさまざまな実例を用いて「お金を呼び込む59の鉄則」が述べられています。会社経営を長年合理的にされてきた方には当たり前のこともあるかもしれませんが、その中からいくつか書いてみます。
- 会社に入ってきたお金は、99%出ていく
- お金を残している会社の社長は、全員”ケチ”である
- お金は、”借り渋り”できるよう、晴れているときに有利な条件で借りておく
- 税引前のお金を使うと、お金の価値が1.75倍になる
中小企業における借金の有効利用についてさまざまな角度から解説されているのが印象的でした。本書のすばらしさは経営とお金の流れについての解説が一体化されているところです。
経営についての本、会計や節税についてのそれぞれの本はたくさんありますが、ポイントを絞って有機的に両者を関連づけてわかりやすく解説している本はそんなにありません。
本書は経営者のみならず会社に雇われている方が読んでも役に立つと思います。本書に書かれていることを知ると知らないとでは、会社そのものに対する見方が全く異なってきます。
そして、多くの人が本書にあるような合理的なお金の流れと利用方法を理解すれば日本の経済も活性化することでしょう。イノベーションはイノベーションで重要ですが、ほとんどの企業経営は地道なお金の流れを中心とした合理化によって継続しています。








