2008年09月14日

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『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』5

鳥羽 博道著  2008年9月1日発行  700円(税込)

ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫 ブルー と 4-1)

現在はすでに経営の第一線からは引退されているようですが、著者はドトールコーヒーを創業された方です。本書は9年近く前に出版された本が文庫になったもので、少しだけ加筆されていますが、単行本と大きな違いはないようです。9年近く前に書かれた本書の内容は現在でも通用するからでしょう。

本書はタイトルにあるようにドトールコーヒーの創業記ですが、著者の自伝にもなっています。本書によるとドトールは現在1100以上の店舗があるそうです。ほとんどの方は一度は行ったことがあるのではないでしょうか。1日に60万人の人が利用するそうです。



自分が利用したことがある店について書かれている本にはつい目を通してしまうのですが、本書は経営のヒントになることが数多く書かれているので紹介させていただくことにしました。

チェーン店系のコーヒー店といえば、スタバ、タリーズ、エクセルシオール、カフェ・ド・クリエ、ルノアール、珈琲館、上島珈琲、ベローチェ、サンマルクカフェなどが思い浮かびます。ちなみにエクセルシオールはドトールの系列です。

完全禁煙ということもあり一番利用するのはスタバ、コーヒーが一番好みなのはタリーズ、チェーン店にしては高級感があるのが上島珈琲、昔ながらの落ち着きの珈琲館、価格で勝負のベローチェ、ゆったりと商談のルノアール、ライトな雰囲気のカフェ・ド・クリエ、チョコクロのサンマルクといった印象です。

店舗にもよるとは思いますが、ドトールは価格、接客、コーヒーの味、雰囲気どれも無難にまとまっているイメージがあります。食事が美味しいのが特徴でしょうか。やや長居をしにくい雰囲気がありますが、それだけに回転がよいはずです。

ドトールコーヒーはほぼ1年前に日本レストランシステムと経営統合をしました。現在はドトール・日レスホールディングスとなっています。日本レストランシステムというとピンと来ませんが、パスタの五右衛門というとわかりやすいかもしれません。

本書を読んだ後にドトール・日レスホールディングスの決算書を眺めてみましたが、自己資本比率が80%以上あり、売上高は1000億円程度、売上高営業利益率も10%程度あります。財務的にかなりの優良企業です。

ここ数年のドトールの売上高は600〜700億円、売上高営業利益率は6〜8%でしたが、日本レストランシステムは、売上高営業利益率がなんと20%以上あったようです。パスタは利幅が大きいんですね。

自己資本比率が高いので、ドトール・日レスホールディングスのROEはあまり高くありません。株価との関係では、本日の時点でPERは15倍程度、PBRは1.1倍弱で、現在の市場の状況からするとそれなりの数値です。ブランド力があるためかそれほど割安にはなっていません。

ちなみにスタバの自己資本比率は60%ちょっと、PERは16倍程度でほぼ同じ、PBRは2.1倍弱でやや高くなっています。スタバもひと頃に比べると株価がこなれてきたように思いましたが、どうも第一四半期の決算があまりよくなかったようです。業績予想からすると来年はもっとPERが高くなりそうです。

コーヒー店には本を読むために入ることが多いため、個人的にはスタバの方がドトールよりも居心地がよいのですが、経営的にはスタバが必ずしもよいというわけではなさそうです。

ちょっと話が逸れましたが、本書を読むとドトールコーヒーがここまで発展したのは、著者の経営理念が浸透していたためと思わされます。創業からチェーン店の拡大の過程がよく理解できます。チェーン店が拡大するためには、やはり一つ一つの店が重要なようです。

本書はコーヒー業界のみならず経営や人生一般に通じる話が多く、業界にあまり興味がなくても面白く読める本です。また、本書を読むと次回ドトールに行ったときの店についての見方が変わるかもしれません。



investmentbooks at 23:46│Comments(4)TrackBack(0)clip!本--経営者 

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この記事へのコメント

1. Posted by えふ   2008年09月15日 23:50
bestbookさん、こんばんは。

この本、おもしろそうですね。文庫になる前にも単行本が随分前に出ていたようですが、全く知りませんでした。

私は、スターバックス、ドトール、エクセルシオールの順に利用しているような気がしますが、ドトールが完全禁煙だといいなぁと思います。

居心地のよさと、コーヒーの好みが必ずしも一致しないことは、仕方ないのでしょうか。
2. Posted by bestbook   2008年09月16日 01:52
えふさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

本書は文庫ということもあり、コストパフォーマンスも高いと思います。自分も文庫になるまで知りませんでした。

たしかにドトールが完全禁煙だと自分ももっと行く機会が増えると思います。ただ、ドトールに来ている人を見ると、タバコを吸いに来ていると思う人も多そうです。喫煙する方はドトールを見ると「ああ、一服できる」と思っているかもしれないので、試験的にも完全禁煙の店舗は作りにくいのかもしれません。

やはり読書には完全禁煙のスタバが最適ですね。照明も適度な暗さで本に集中できます。読書目的でスタバに行く人も多いと思います。店側も分かっているようで、最近はスタバオリジナルのしおりも見かけます。
3. Posted by えふ   2008年09月17日 21:28
bestbookさん、こんばんは。

 文庫なら、場所もあまりとらないし、携帯も楽だからいいですよね。

 スタバの栞、なかなかいいですよね。私は栞好きなので、栞はついもらってしまいます。
4. Posted by bestbook   2008年09月18日 00:29
えふさん、お返事ありがとうございます。

文庫本を読んでいる方はよく目にしますね。個人的にはつい重い本を全部読めなくても何冊も持ち運んでしまいます。

スタバの栞はデザインもよいです。顧客のツボを押さえていると思います。やはり読書家にとってはスタバは抜きん出た存在であると思います。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
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