2008年09月28日

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『政治とケータイ ソフトバンク社長室長日記』4

嶋 聡著  2008年9月30日発行  798円(税込)

政治とケータイ ソフトバンク社長室長日記 (朝日新書 131)

本書はあまり期待せずに読み始めたのですが、予想外に面白い本でした。著者は元民主党の衆議院議員だった嶋聡氏です。2005年9月の郵政解散総選挙で自民党が大勝したときに、3期9年にわたって衆議院議員であったにもかかわらず落選。その後、縁あってソフトバンクに政から民への転身をされました。当時話題になったようですが、本書を読むまでは寡聞にして知りませんでした。

本書ではおもにソフトバンクで社長室長として働くようになってから最近までの3年間に渡る経験が書かれています。本書にはいくつかの読みどころがありますが、個人的に興味を持てたのはソフトバンクの内部の雰囲気でした。



ソフトバンクは投資対象として考えたことは今までにありませんが、通信費を下げることに対して貢献するなど、日本社会に対しては非常によい影響を与えている企業だと思います。本書からよくわかりますが、孫社長の事業家としての社会的使命感が伝わってきます。

ただし株主の立場からすると、ソフトバンクは必ずしも魅力的ではないかもしれません。似たような企業にはワタミがあります。社会に非常によい影響を与えてると思うのですが、トップの社会事業に対する使命感が強く、必ずしも株主の利益を最大化していないようにも思います。

ただし、これには反論もあると思います。長期的には社会にとって役立つ企業のリターンが最も高くなる可能性もあります。このあたりは投資家の価値観によって意見が異なるところです。リターンはそんなに高くなくても、企業の理念に共鳴して株主としてサポートしたいと思う方もいることでしょう。

ソフトバンクは理念も高いと思いますが、運もよい企業であるということが本書から分かります。孫社長はいままで数多くの大勝負をされてきましたが、現在の状態を見ると成功しているようです。ボーダフォンの買収についても、いまから考えるとタイミングがよかったと思います。

数年前までソフトバンクは政治的に弱いところがあったようですが、著者の経営への参画によりそのあたりもよいタイミングで補強されているようです。本書を読むとソフトバンクの巡り合わせの良さがさまざまな点から分かります。

これからも通信業界はNTTを中心とした旧来からの構造の変化や著作権問題などで大きな変化があると予想されますが、本書を読むとその流れを大まかにつかむことができると思います。

本書には著者の政治家時代のエピソードも出てきます。お盆に4日間で36件の盆踊りに参加したなどの苦労話が出てきますが、選挙のためとはいえこのあたりの構造は何とかならないものでしょうか。

著者は将来的には政治の世界に復帰されると思うのですが、民間での経験は貴重だったということになるのでしょう。本書のテーマは政→民ですが、今後は天下りではない官→民→官なども盛んになると日本にとってさまざまな点でよいのではないかと思います。何事にせよあまり固定化するのはよくありません。



investmentbooks at 22:22│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経営 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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