2008年10月03日

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『結婚難民』4

佐藤 留美著  2008年10月6日発行  735円(税込)

結婚難民 (小学館101新書 3)

昨日に引き続き、今月創刊の小学館101新書です。恋愛や結婚についての本は、著者の性別と、本が男女どちらに向けて書かれたものであるかに注意が必要ですが、名前からもわかるように著者は女性、本書は男性向けに書かれています。

本書は夕刊紙「日刊ゲンダイ」に「結婚してはいけない10のオンナ」という記事がベースになっているようです。本書では第二章で「結婚してはいけない13の女」として発展しています。その他の章のタイトルは以下の通りです。



  1. 僕たちはやっぱり結婚したい
  2. 結婚してはいけない13の女
  3. ロスジェネ男が結婚しないこれだけの理由
  4. ロスジェネ女はこんなに質素で堅実
  5. 男たちよ自信を持て!

分量的には第二章の「結婚してはいけない13の女」が三分の一程度を占めていますが、個人的に面白く読めたのはそれ以外の章でした。著者も書かれているように、「結婚してはいけない女」は少数派です。これらの女性の多くに共通しているのは、エゴが強いことであると思います。

本書は、女性である著者が、社会的に巡り合わせのよくない時代に適齢期を迎えて「結婚難民」となっているロスジェネ男を弁護したり励ましたりする内容になっています。ロスジェネ男に対して一般的に言われる批判として以下の三つが挙げられています。

  • 責任感がないから結婚しない
  • 最近の男たちは女を口説かない
  • モテないくせに妥協しない

以上の批判に対して、著者がさまざまな点から複数の反論をされており、興味深く読めます。ちなみに自分がロスジェネ男を代弁して反論するとすると、

  • 責任感がないから結婚しない→責任感があるからこそ結婚しない。責任を取れない状態で結婚するわけにはいかない。
  • 最近の男たちは女を口説かない→昔の男もそんなに女性を口説いていなかったはず。日本の男性が女性を口説かないのは今に始まったことではない。
  • モテないくせに妥協しない→妥協というのは両者がするものなので男女とも妥協しないのは同じ。むしろ女性の方が妥協しないかも。

となります。

非婚化について一番大きな原因は経済的な問題です。日本経済の停滞とグローバリゼーション、資本主義が安い労働力を求めることなどもあり、労働市場が女性に開放されました。そのため、労働市場での男女間の裁定が生じてしまい、男性の賃金は安く、女性の賃金は高くなって均一化しつつあります。

男女間の結びつき、とくに結婚は、男性の稼ぎが多いほど、そして男女間の稼ぎの差が大きいほどなされやすくなりますが、時代の流れには逆らえません。

第四章「ロスジェネ女はこんなに質素で堅実」で、女性も現実に適応すべく価値観が変わりつつあること、第五章「男たちよ自信を持て!」でいくつかのアドバイスをされていますが、経済的な問題が根本である以上、根本的な解決法を提案するとすると、「とにかく稼げるようになること」かもしれません。

ただし、上記のような理由で男性が全体として受け取るパイが大きくならないので、全員にとっての解決方法とはなりません。ただし、個人のレベルでアドバイスするとするとやはり稼ぐことはポイントになります。

もちろんお金があるだけではダメなのですが、稼げるということは稼ぐための能力を自分で身につけているということなので、その能力をつける過程で自信がつきます。

現時点で稼げていないとしても、稼ぐための努力をして自分で将来稼げそうな自信がつけばそれだけでも十分です。女性は男性の自信の有無に敏感であり、男性が女性と接する場合、最も重要な性質は適切な自信です。

本書には経済状態の悪い時代を反映して、いくつかの裏技的な方法が提案されています。それらはそれらで参考になるとは思いますが、まずは稼げる力をメインに考えるのがよいと思います。そうすれば本書の内容はより役に立つことでしょうし、必要性も少なくなることでしょう。

本書からは著者がやさしい女性であることが伝わってきます。男性にとってやさしいアドバイスや内容が多く女性性の強い本ですが、男性性を補うとすれば、以上のように稼ぐ能力の重要性を強調することになると思います。



investmentbooks at 23:47 │Comments(2)TrackBack(0)clip!本--男女関係 

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この記事へのコメント

1. Posted by donald    2008年10月04日 20:46
全く、この本の第二章は余りにマンガチックで、あんたに注意されなくても、誰もこんな女たちと結婚しねーよ、って感じ。

もう恋愛の現役という年齢ではない自分が、こういう類の本を読むのは、現在の恋愛や結婚の意識に、やはり経済環境の変化の現れを見るからです。男女関係の在り方も「構造改革」を迫られているな、と。

下部構造(経済)が変化すれば上部構造(思考)も変化すると思うのですが、人間の価値観の変化はゆっくりだなあと感じます。何だかんだ言っても、親の考え方が子供に受け継がれる部分は多いだろうし。とりあえず「二人で稼ごうね」と決めるだけで、男の方はずいぶんラクになると思うんだけど。
2. Posted by bestbook    2008年10月05日 01:56
donaldさん、コメントありがとうございます。

本書の第二章は望ましくない女性のタイプを挙げて、男性の溜飲を下げる効果も狙っているのではないかと思いました。

たしかに経済環境が変化した現在は男女のあり方についても「構造改革」が必要かもしれません。男女の構造は数十万年以上かけて形成されているので、お書きの通り価値観の変化は難しい点もあります。

下部構造が変化すれば上部構造は変化しやすいですが、上部構造から下部構造を変化させるのはそれより難しそうです。そのため稼ぐことの重要性を指摘させてもらいました。

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