2008年10月04日
『サブプライム後のマネー経済入門』
藤田 勉著 2008年9月20日発行 1000円(税込)
サブプライム後のマネー経済入門(Mainichi Business Books)
著者は証券業界での経験が長い方で、1987年10月のブラックマンデーも業界人として経験されている方です。本書は著者の業界での経験と日本の戦後経済史を振り返ることにより、「「バブル」と「危機」の歴史から、バブルの発生とその崩壊の”黄金法則”を解明する」内容になっています。
あくまで一つの可能性ですが、著者は2010年頃に次のバブルが起こると予想されています。
著者が2010年にバブルが生じると予想されている理由としては、過去の金融史上、危機後に繰り返しバブルが生じているからです。危機後にバブルが生じるのは、政府や中央銀行の政策が遅れる傾向にあること、そのため景気刺激が過度になることが理由として挙げられています。
現在もサブプライム後の金融危機が続いており、世界中で緩和的な金融政策がとられています。今回の危機もいつかは収束するでしょうが、その後に残るのは金融が緩和された状況です。
危機が去れば緩和を引き締めればよいのですが、その場合も対応が遅れる傾向にあります。そうなると、なんらかのきっかけによりバブルが発生します。
著者はその時期を2010年頃と予想されているわけです。著者の予想では、株価上昇をリードする国は新興国、株価上昇をリードするセクターは資源です。日本は世界の景気敏感株なので、世界的にバブルが生じるとその影響を受けることでしょう。
日本の銘柄では、省エネや環境技術に優れている企業が有望とされています。不動産の相場についても、とくに東京周辺に対して強気です。
不動産業界は現在倒産が続いており悲惨な状況です。株価は倒産リスクを織り込んでかなり割安になっていますが、倒産しなければいつかは回復するはずです。ただし、底値がどこか、いつ反転するかは分かりません。
株価は「超割安」と思った場合でも、そこからさらに数分の一に下がることはざらです。新興不動産銘柄は二十分の一程度に暴落している銘柄もありますが、十分の一程度まで下がった時に買ってしまった人は、損切りできていないと半値になってしまっています。そしてさらにここから数分の一になってしまう可能性もあるのが相場の難しいところです。
倒産しそうにない不動産銘柄はそろそろ買い時かとも思っているのですが、過去の経験上、買い時と思った時からさらに下がることが多いので我慢のしどころかもしれません。
といっても、さすがに自己資本比率が高く、低PER、低PBR、キャッシュリッチで業績も極端に悪くなりそうにないその他の業種の株は長期的には魅力的かもしれません。
2006年頃株価が上昇しているときは、2003年頃の割安時に仕込んでおけばよかったと後悔した人は多かったことでしょう。しかしながら、2003年の時に買えた人は少数派でした。2003年に買えなかった人は、次の割安の機会には買おうと思っていた人もいると思います。
2003年頃の買いにくさは、心理的には今の買いにくさに似ています。ただし、今買うとよいかどうかはわかりません。そのあたりがまさに買いにくさを形成しています。日経平均が7000円台になったときも、5000円、4000円になるのではないかとも言われていました。
現在も11000円程度ですが、これが8000円、7000円と下落しないとは誰にも言えません。もしも金融危機が大丈夫そうであると多くの人に意識され始めれば、すでにその時は株価はある程度上昇してしまっています。皆が同じように安心して安値で買おうとするのは無理な話です。
本書を読むと戦後の日本の株式市場の歴史について簡略に知ることができます。市場の歴史を知ることによって理性で市場のサイクルを理解することはできますが、感情を克服するのはさらなる難しさがあるようです。








