2008年10月09日
『竹中式マトリクス勉強法』
竹中 平蔵著 2008年10月10日発行 998円(税込)
竹中元大臣による勉強法の本です。勉強本はふだんあまり紹介していないのですが、本書は経済についての勉強法も書かれていたので、買って読んでみました。
著者は啓蒙書も含め経済の本は数多く書かれていますが、本書のような勉強本は初めてと思います。以下にある各章のタイトルを見ると、どのようなことについての勉強法が述べられているかがよくわかります。
- マトリクス勉強法とは?
- 竹中式勉強法9の極意
- 竹中式記憶勉強法5の極意
- 竹中式英語勉強法7の極意
- 竹中式経済勉強法9の極意
- 世界に通じる勉強5の極意
タイトルの「マトリクス勉強法」とは、「人生を戦うための武器としての勉強」「人間力を鍛えるための人と人を結ぶ勉強」でまず勉強を二つに分類し、そしてその二つをそれぞれ「天井がある勉強」と「天井がない勉強」の二つに分けていることに由来します。2x2のマトリクスができるわけです。
著者御自身の20代の時のマトリクスとこれからのマトリクスが書かれており、それらも興味深いと思いました。「「行動経済学」で日本政治を考える」などとあります。
すべてのマトリクスを埋めるとバランスが取れると思いますが、同時にすべてを埋める必要はないかもしれません。しかしながら、今自分が行っている勉強がどこの部分に相当するかを考えるのは参考になると思います。
全体的に極めて正統的なことが書かれており、あまり裏技的なことは述べられていませんが、やる気に満ちていれば裏技は必要ないのかもしれません。
ビジネス書系の勉強本では、勉強によってさまざまな願望を達成することが強調されていることが多いのですが、本書は自分を高めることや勉強自体の面白さに主眼が置かれています。勉強によって欲望をかなえるというような願望成就的な視点はあまりありません。
著者はどちらかというと格差を容認されていたと思うのですが、本書でも努力して勉強することが説かれており、努力する人としない人に差ができるのは自然な流れのようです。
本書によると、著者はあまり物欲がないとのことです。みなに物欲が少なければ勉強によって差ができてもそんなに貧富の差はできないでしょうが、欲望が強い人が努力して成功すると、強い欲望によりさらに富を集めたくなることは少なくはありません。
努力によってある程度の差ができるのはよいと思いますが、人間の過度な欲望がそれに加わると格差が必要以上に開いてしまいます。人間の欲望は過度になりがちなので、ある程度の格差を受け入れつつ、欲望によって必要以上の格差をいかにして生じないようにするかが難しいところです。
本書は著者の過去のエピソードも数多く、体験的に書かれているところが面白いですし、とくに参考になると思います。全体的に記述が明快で、人生論的読み物としても読める本に仕上がっています。









