2008年10月10日
『ズバリ!先読み 日本経済』
竹中 平蔵/田原 総一郎著 2008年10月10日発行 998円(税込)
今日も株式市場はすごい下げでした。しばらく割安と思われる株を買うのを我慢していましたが、ここ数日の暴落でさらに割安となった安全性の高い銘柄を本日かなり買いました。本日の購入価格からさらに下げるとしても、今日の価格から4割程度の下落までは買い続けます。
昨日に引き続き竹中元大臣の本です。昨日は勉強法の本でしたが、本書は経済についてであり、田原総一郎氏との対談です。リーマンの破綻のことまで触れられているので、比較的最近の対談であることがわかります。
本書は大きく3つの部分に分かれています。
- 改革停止、日本が危ない!
- 小泉・竹中改革を検証せよ!
- すぐにやれ!---日本復活の処方箋10
第1部はサブプライム問題を含む日本経済の現状について、第2部は著者が政治活動をされているときの経験について、第3部はこれからの日本の改善点について語られています。
サブプライム問題についてはあまり深刻な問題としてはとらえられていないようです。これは著者が金融よりも国を強くする経済の仕組みを重視されているからでしょう。
アメリカについての評価はこの対談の時点でもまだかなり高いようです。将来的にも期待成長率はある程度下がるにしても、そんなには下がらないと述べられています。アメリカの評価は日本の評価に比べて相対的に高いようです。やはり国の経済の仕組みを重視されているからだと思います。
政治活動については、不良債権処理と郵政民営化がやはり大きなテーマになっています。両方ともしがらみがない立場で活動できたこともよかったようです。日本の政治は連続性が強いので、思い切った改革をするためにはシステムが非連続性を含む方がよいのかもしれません。
エピソードで現在の麻生総理に「いつか仕返ししてやる」と言われた話が出てきます。「まあ冗談でしょうけど(笑)。」とありますが、これまでの改革の流れに逆行する政治をされるのが一番の「仕返し」なのではないでしょうか。
日本復活の処方箋についてはいくつかの提案がありますが、要点としてはグローバリゼーションにより世界中で競争が行われていること、そのため日本の成長力を弱めないためには競争できるシステムを作る必要があることがポイントのようです。
現状の公務員制度についてもかなり問題視されていますが、現実的には改革が難しいことも認識されています。
今すぐのアジェンダ(課題)としては、法人税の引き下げ、東大の民営化、完全なるオープンスカイ政策の三つが挙げられています。オープンスカイとは飛行機で海外の行き来をスムーズにすることです。例えばシンガポールまで日帰りできるようにするなどです。
これら三つはそれぞれ、企業の国際的な競争力を上げること、教育・研究のレベルを上げることによる国際的競争力のアップ、海外との交流をさかんにすることに対応しています。いずれもグローバリゼーションが根底あると思います。
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この記事へのコメント
確かに水準としては買いなのでしょうが、下げの勢いが余りに強いので、心理的には買いの手を出しづらいです。買い下がりの意思まで表明されているので感心してしまいました。
(本のことじゃないコメントですいません)
まだ下がる可能性は十分ありますが、目をつけていたほぼ無借金の企業が、実質的な時価総額と企業の保有する現金同等物がだいたい等しくなったので買い始めることにしました。
4割程度の下落までは下がるごとに買い続けますが、それより下がったときに損切りするかどうかが悩ましいところです。日経平均が5000円以下のレベルですが、日経平均が5000円を割るようであれば、さすがに異常事態なので涙をのんでいったん損切りすると思います。現時点でも十分異常事態ではあるのですが。