2008年10月11日
『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』
山口 揚平著 2008年10月10日発行 1890円(税込)
著者は以前に『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』という本を書かれています。3年前の本であり、当時はブログを始めていなかったのでこのブログでは紹介していませんが、わかりやすい本だったように記憶しています。地味な装丁ながら、株式投資の本にしてはよく売れた本だったようです。
著者はM&Aを仕事にされている方で、本書は企業のデューデリジェンスとバリュエーションについて明快にポイントを絞って明快に解説されています。「読み物」ということを強く意識して焦点を絞って書かれているようです。
著者は企業を見る視点を、ビジネスマーケット←→キャピタルマーケット、外部環境←→内部環境の3x3のマトリクスから9つに分類されています。9つに分けられたマトリクスのそれぞれの項目は、以下の通りです。
- 収益構造---スターバックス コーヒー ジャパン
- 資本価値---三菱地所
- 事業構造---創通
- 競争構造---ビックカメラ
- 市場構造---GABA
- 社会動向---JR東日本
- マクロ経済---横浜銀行
- 資本市場---ミクシィ
- 資本政策---任天堂
右に書かれている企業は、それぞれの視点を解説するためのケーススタディの実例として採り上げられています。すべての企業において、クローズアップされている以外の要素はすべてありますが、わかりやすくするために、それぞれに特徴的な視点のみスポットライトが当てられています。
図やコラムも充実しており、かなり「読み物」としてのバリューを追求されているようです。そしてその試みは成功しているように思います。
本書は企業分析の本ですが、株式投資のための参考書として参考になる本です。ケーススタディに使われている企業も、ふだんの生活においてサービスの利用者として関わる機会が多い会社が採り上げられているので、企業価値分析という別の視点から眺めることができて興味深いと思います。
企業に関する本は経営者が書かれた経営哲学などの本も面白いのですが、やはり具体的な数字とその分析がある方がより面白く読めます。
企業の経営方針、企業が提供する商品やサービス、企業の数字の三つについては整合性があるはずなので、これらのうちいずれか二つから残りの一つ、あるいは一つから残りの二つを想像するのも面白いかもしれません。
多くの人は消費者として企業と関係しているので、ある商品からその企業についていろいろと思いをめぐらし、その後にその企業について書かれている本や決算書に目を通すのは株式投資の練習になります。本書を読むと、それらをどのようにつなげるかがよりわかりやすくなると思います。
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この記事へのコメント
投資や経済の本をたくさん揃えていただいてありがとうございます。とても参考になります。
私は最近あまりに株価が下がるので、株式と外債の投資を一旦中止にして、ミドルリスクミドルリターンのポートフォリオを一時的に崩してしまいました。
将来的にはバフェット流の企業の価値を見極めて割安株に投資する方法を身につけたいと思っているので、bestbookさんの情報はためになります。
ところで、私のブログではbestbookさんのブログを勝手にリンクさせてもらってるのですが、よろしければ相互リンクしませんか?よろしくお願いします。
実は投資の本についてはこのブログを始める前に過去の良書を読んでしまっているので、紹介できていない本が数多くあります。いつかまとめて採り上げたいと思います。
世界的な株安と円高のため、外国の金融資産を持っている方はとくにつらい状況だと思います。企業価値を見極めるバフェットの投資手法は同じく身につけたいものです。
リンクいただきありがとうございます。このブログとも主旨が似ているので、本関連リンクとさせてもらいました。
既に投資関連の良書は読んでしまったとは。bestbookさんの読書量には驚かされるばかりです。
私の方はまだまだ勉強不足なので、投資関連の過去の良書もとても気になります。記事にしていただけるのをお待ちしてます。
リンクありがとうございました。
投資の本をたくさん読んだからといってバフェットにはなれないのが難しいところです。成功本と同じで、数多く読んだからといって成功できないのと同じですね。
理性で理解する以外に、別の部分でも「理解」する必要があることを痛感します。
またその他の書評文も大変参考になります。
本書は、企業分析をケーススタディ形式でおこなったものですが、企業をみる様々な視点を面白く理解していただけていれば大変嬉しく存じます。相場は大変な状況ですが、企業の本質を見抜くという作業は普遍のものだと思います。
こういった知識が普及してくれば日本の市場もかわってゆくのではないかと思っています。
まずは御礼までにて。
本書はさまざまな角度からシンプルに企業について分析できる良書であったと思います。
結局のところ日本の市場の質、ひいては日本の経済力を高めるためには、個々人の企業を見る目を向上させるしかないと思います。
そのためにはなるべく数多くの人がなるべく数多くの良書に目を通すのが一つの方法です。本書のような本が数多くあるとよいと思いますので、次回作も楽しみにしています。









