2008年10月16日
『花のタネは真夏に播くな 〜日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学〜』
水澤 潤著 2008年10月10日発行 530円(税込)
花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~ (文春文庫 経 3-1)
本書は2003年に発売された『日本一の大投資家が語る大貧民ゲームの勝ち抜け方―上場会社・約70社の大株主・竹田和平さんの旦那的投資哲学』がもとになって文庫化されていますが、その他に雑誌などに寄稿されたいくつかの記事も新たに加わり、加筆・改稿されているようです。今回紹介するため文庫版を買って読み直しました。
本書で紹介されている竹田和平氏は独特の投資哲学を持っておられ、投資家として有名な方です。本書以外にもいくつか本が出ています。本書が現在のタイミングで文庫化されたのはよいタイミングだと思います。
本書の単行本版が出版されたのは2003年の秋でした。2003年の相場状況は、その年の4月に日経平均がバブル後最安値である7000円台をつけており、本書が出版された10月はようやく10000円台に回復した時です。本書が企画されたのは、おそらく日経平均が最安値をつけた頃のはずです。
竹田和平氏は優良企業を「旦那」として応援するため、それらの企業が市場で安値を付けているときに投資をされる方です。現在は優良企業の株式も売り込まれて割安になっていると思われますが、まさにこれからの時期は本書にある投資哲学が活かされる時期になるのではないかと思います。
本書は「投資哲学」とありますが、実際に投資哲学が語られている部分は一部分であり、分量的にはそんなには多くありません。多くは著者の事業家としての半生記や人生哲学について書かれています。
しかしながら、竹田氏の投資哲学は人生哲学と密接に結びついているため、一見投資と関係ないようなところからも投資哲学を学ぶことができます。人生哲学を通じて投資を学ぶというよりも、投資哲学を通じて人生を学ぶと言う方が適切かもしれません。
ネット証券の新規口座開設数が普段の5倍くらいに増えているというニュースが最近ありましたが、現在はチャンスと見ている方も少なくないようです。相場の底がいつになるかは誰にも正確なところはわかりませんが、割安な株が多くなっていることはたしかです。そのような状況は、竹田氏の投資哲学が最も活かされる場面です。
株式投資のためには本書にあるような投資哲学だけではなく、相場における群集心理や自分自身の心理、企業の決算書などの見方についての知識も必要ですが、長期的に市場で脱落せずに生き残るためには自分なりの投資哲学がある方がよいと思います。
本書は自分なりの投資哲学を形成するために参考になる本です。株式投資に本格的に取り組みたい方であれば、読んでおいて損はないと思います。
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この記事へのコメント
私も2003年に発売された方を読んだことがあります。文庫本になったので、読もうと思っていましたが、さすが早いですね。(私が読む本と非常に傾向が似ているのでビックリしています)
竹田さんは日本のウォーレン・バフェットですね。
本書のような本はなるべく早く紹介したくなってしまいます。レバレッジ君さんのブログを読ませていただきましたが、相場について書かれており参考になりました。
お書きの通り竹田さんは日本のバフェットと思いますが、バフェットの方がよりお金についてシビアかもしれません。その分竹田さんの方がホッとする点があります。