2008年11月03日
『振り子の金融史観―金融史と資産運用』
平山 賢一著 2008年3月10日発行 1995円(税込)
出版されてから半年以上経っています。出版された時期に書店では見かけた記憶はありませんが、以下のブログの記事で知り購入して読んでみました。
著者は長年資産運用の仕事をされている方で、本書は雑誌の連載がもとになっているようです。あとがきによると、本書は「金融の資産運用史観」「金融の物価史観」という性格を有しているとのことです。
本書では利子については紀元前3000年から、物価については紀元後1500年から、株式については1700年頃からと、数百年から数千年のオーダーで歴史を振り返って分析されています。
以上に挙げたこと以外にも、さまざまなデータを用いて金融史の分析がされており、一般の歴史の学習とは異なった面白さがあります。一般の歴史は権力者や勝者の歴史ですが、それらの背後には農産物の生産や商業の発展などが大きな影響を与えています。歴史を大きく動かしているのは、これらの物質的な基盤であり、一般の歴史は表面的なことに過ぎないのかも知れません。
著者は資産運用の仕事をされているだけあり、随所に歴史を現在の資産運用に応用する視点が含まれています。
「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」という言葉があります。もともとは投資について述べられた言葉ではありませんが、よく投資において聞かれる言葉です。投資において過去の歴史を学ぶことは重要です。一番のメリットは、現在の状態を相対化し客観的に眺める視点が得られることです。
現在市場で起きていることも、将来から振り返ると歴史の一場面ですが、現在ではなかなか冷静に対処することができません。歴史を学ぶことにより、現在を単なる面ではなく、立体の断面として眺めやすくなります。そのためにも本書は有用な本であると思います。
ただし、知識があるだけでは十分ではありません。なぜならば、市場の変動に対して動揺するのは人の心であり、知識だけでは十分冷静になれないこともあるからです。市場で必要なのは、歴史の理解と自分を含めた人間心理の理解の両方です。
市場における人間心理については数多くの一般向けの良書が出ていますが、市場の歴史については市場心理の本ほどは出ていません。本書は日本人によって書かれた数少ない一般向けの本の一冊になると思います。
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この記事へのコメント
書いておられる通りのしっかりとした良書ですね。
投資は、理論と実践(学習含む)が両輪となって、継続可能な難しくも楽しい行為だと思いますので、改めて私からも本書を推薦します。
本書は日々のマーケットとの関わりにおいて実用的でもあり、知的好奇心が満たされる本でもありました。
本書のような本をご紹介いただくと、マーケットの観察がより楽しくなります。超長期的な視点が必要であることがよくわかりました。









