2008年11月08日
『お金の流れはここまで変わった!』
菊池 正俊著 2008年11月21日発行 777円(税込)
著者は外資系証券会社で日本株のストラテジストをされている方で、外国人投資家についての本を多く書かれています。本書と同じ洋泉社新書yの『外国人投資家』は過去に紹介しましたが、良書でした。
本書も外国人投資家の動向の現況についても記述がありますが、お金の流れについてより幅広いテーマが扱われています。どのようなテーマが扱われているかは、以下の各章のタイトルを見ると分かります。
- 資源・食料価格の高騰が家計を直撃した
- 資源価格の上昇で誰が得をしたのか
- 食料価格の高騰は誰が引き起こしたのか
- 日本株は誰が保有し、誰が売買しているか
- 銀行や保険会社に預けられた資金はどこへ行くのか
- 国債残高と年金財政は持続可能か
- 日本の不動産市場は下落に転じたのか
各章のタイトルを見てわかるように、最近までの商品市場の高騰を中心として、株式、債券、不動産など幅広いテーマが扱われています。
本書に出てくるのはほとんどが兆円単位の額であり、日本に関係するお金の大きな流れがおおまかにほぼ把握できます。
著者の本の魅力の一つはロジカルで定量的な説明が多いことでしょう。外国人投資家に向けて日本株を中心とした経済状況について説明する機会を著者は多くお持ちとのことなので、説得力があるように数字が用いられていると思います。
日本の財政問題についても、おもに国債との関係で語られています。しばらく前に話題になった埋蔵金の話も少しですが出てきます。
本書に出てくる数多くの具体的な数字は、日本の市場や経済について大まかな議論をする際に、始めのとっかかりになる数字です。本書に出てくる数字を覚えておくと、日々の経済がより明快に理解できるようになるでしょう。
数字がたくさん出てくるので覚えるのは大変ですが、いったん覚えてしまうと今後変化する数字については、現在との差のみを意識すればよいので、最初に一度苦労しておくとずっと使える知識が身につきます。経済の数字リテラシーが身につくと考えることもできます。
市場で利益を得るためにも、大きなお金の流れが具体的にどのようになるかを把握して予想する必要があると思います。2003年から2006年の始めにかけて日本株が大きく上昇したのも、外国人投資家のお金が流れ込んできたからです。
サブプライム問題をきっかけにした金融危機で日本株が大きく下がっているのは、日本株が外国人投資家によって大きな影響を受けているからです。ここ5年くらいの日本株は外国人投資家が買って大きく上がり、外国人投資家が売って大きく下がるという流れでした。
もちろん個別の銘柄を選ぶのは重要なのですが、大きな流れを把握した方がリスクが少なくなります。
外国人投資家の動向によって日本株の値動きが左右されるとすると、日本株市場では中期的なトレンドはあるのかもしれません。外国人投資家は順張りの傾向があるようで、いったん上昇トレンドが形成されたと見なされると次々に日本市場に資金が流入し、その逆の流出も同様だからです。
もしも日本株のトレンドが外国人投資家によって作られるとすると、しばらくは日本株の上昇はなさそうです。現在は割安と思うのですが、あまりあせって買う必要もないのかもしれません。予想外の何らかの資金流入はなさそうですが、予想できないのが予想外なので、予想外の何らかのことがあるかもしれない可能性は否定できません。
しかしながら、予想外のことが起こったとしても、下がるときは急落しますが、上がるときは徐々に上がります。予想外のことが起こって暴落するときはなるべく早めに売るべきですが、予想外のことが起こって上がるときには、焦る必要はありません。売り時は一瞬ですが、買い時は数多くの機会があります。









