2008年11月16日
『世界金融恐慌序曲』
大竹 愼一著 2008年11月22日発行 1680円(税込)
著者は自分で独立して長年国際的に活躍されているファンドマネージャーです。過去にも数多くの著作があり、辛口でとんがった語り口のものが多いのですが、個人的には好きな方の一人で、著者の本にはほとんど目を通しています。
独立して仕事をされている方は、あまりしがらみがないためか、辛口の本を書かれていることがありますが、逆にそのあたりが面白かったりします。そのあたりを面白いと思えるかどうかにより、人によって著者の評価は異なってくることでしょう。
本書は現在進行している金融危機を踏まえて書かれており、著者が現在の状態をどのように見ているか、そして今後どのようなことに注目して対応するとよいかについての考え方などが参考になると思います。
独立して長年資産運用をしている方に共通しているのは、厳しく徹底した合理性と自分の皮膚感覚による直観の両方がバランスよく両立していることです。本書に書かれていることからも、著者にはそのような点があることがわかります。
本書にはいくつか著者が評価する日本企業について書かれていますが、そのうちいくつかの企業は昔よいと書かれていた企業と同じものです。例えばサンマルクホールディングスなどがあります。この企業は著者は昔から推奨されていますが、推奨される経営についてもある程度具体的に書かれています。
今回の金融危機の影響もあり、株価的には必ずしもパフォーマンスはよくないのですが、著者は企業の経営方針を評価されているため、業績と株価は長期的には改善すると見なされているのでしょう。
世界経済についてもどのようになるか予測されています。デカップリング論は成立せず、BRICsは総崩れだそうです。中国については以前からかなり否定的な評価をされており、過去に『宿命…。欲望国家中国の没落』などの本も書かれていますが、現在もその考えは変わらないようです。だからと言って、中国株に投資されないというわけではないようです。
松藤民輔氏の本にしてもそうなのですが、独立して資産運用の仕事をされている方の本には独特の個性があって参考になる点があります。自分の責任でポジションを取れるので、マイノリティになれる特権があるためです。大手の運用機関で働いていると、なかなか他の人と極端に違ったことはできません。
マイノリティになれる特権は、実はすべての個人投資家が持っている権利です。多くの人が考えていることを知っておくことは大事ですが、個人投資家であれば少数に人だけが考えていることを知っておけば直接参考にすることもできます。もちろん最終的にはさまざまな情報を参考にした上での自分の判断ではあるのですが。









