2008年11月20日

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『内藤忍の「好き」を極める仕事術』5

内藤 忍著  2008年11月11日発行  1365円(税込)

内藤忍の「好き」を極める仕事術 (講談社BIZ)
内藤忍の「好き」を極める仕事術 (講談社BIZ)

著者はマネックス・ユニバーシティの社長をされており、資産運用についての本を数多く書かれている方です。本書に書かれていますが、ブログになる前のホームページから数えると、なんと12年間もネットで文章を書き続けておられるようです。

著者の資産運用の本にはところどころに自己啓発的な内容が漂っていましたが、丸ごと仕事術を中心とした内容について書かれている本は、本書が初めてです。



本書の内容は著者御自身のキャリアにおける経験に基づいて書かれています。自分に正直に生きている方の書かれたものには文章に透明感がありますが、本書からもそのような感覚を抱きました。

本書での成功の方程式は

「差別化」 x 「効率化」 x 「継続化」

となっており、それぞれ章のタイトルで、

差別化については

  • 「「本当の好き」を見つけよう」
  • 「好きを極めてジャンプしよう」

効率化については

  • 「捨てる勇気を持とう」
  • 「「時価評価」してもらおう」

継続化については

  • 「続ける仕組みを作ろう」
  • 「続けるための心構えを持とう」

として簡潔にまとめられています。

本書に書かれていることは、極めて実践しやすいことが多く、著者もそのことをかなり意識して本書を書かれているようです。多くの仕事術や自己啓発書は、それらを書いた著者が優秀すぎてそのまま真似するのは難しいそうです。

ただし、本書に書かれていることは、シンプルで簡潔なのですが、場合によっては難しいことがあるかもしれません。本書ではさまざまな「損切り」について解説されていますが、損切りという行為は単純ながら心理的に容易でない点があります。

「差別化」「効率化」「継続化」については、人によって苦手な部分が異なると思いますが、本書ではそれぞれを実践する具体的な手段が書かれています。

たとえば、差別化のためには本当に自分が好きなことを見つけることを提唱されていますが、その方法の一つとして、電車の中でどのような広告を無意識に見ているかを意識するように言われています。これは実践しやすいですね。

無意識を意識化するための一つの方法ですが、自分自身の無意識を意識的に眺めることができる人は成功しやすいようです。自分を知る難しさは、自分の無意識を知る難しさです。

多くの人が自分が満足するように成功できていないのは、ほとんどの人は自分自身、つまり自分の無意識と対話できていないからかもしれません。「汝自身を知れ」の「汝」とは自分の無意識です。

著者の資産運用の本を読まれた方はよく御存知だと思いますが、著者の資産運用は、長期投資、分散投資でたまにポートフォリオのリバランスを行うという方法です。

興味深いのは、資産運用においてはバランスのよい分散投資を主張されている著者が、仕事においては集中投資を主張されていることです。

著者の資産運用法は、ポートフォリオの管理にほとんど日常のエネルギーを割かなくてよい方法です。おそらく人生に集中するために、資産運用は本に書かれているような方法になっているのでしょう。

仕事は集中投資、資産運用は分散投資ですが、集中と分散によって人生全体のポートフォリオのバランスをとられているように思いました。逆説的ですが、より高いレベルで集中と分散を「分散」されているようです。



investmentbooks at 23:58│Comments(6)TrackBack(1)clip!本--自己啓発 

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この記事へのトラックバック

1. 【読書メモ】内藤忍の「好き」を極める仕事術  [ レバレッジ投資実践日記 ]   2010年02月21日 00:21
今年195冊目。おススメ度★★★★☆ 先日参加したセミナー会場にて購入し、その場

この記事へのコメント

1. Posted by キリゴンズ   2008年11月21日 23:05
5 はじめまして。いつも楽しく拝読させていただいています。
僕は哲学やら心理学の本を読んで「自分探し」をやっている三十路の男です。
〉「汝自身を知れ」の「汝」とは自分の無意識です。
そんな中、上記のコトバが僕になにか気づきを与えてくれました。
上記のコトバは、『内藤忍の「好き」を極める仕事術』に書いてあるのですか?
2. Posted by bestbook   2008年11月22日 02:27
キリゴンズさん、はじめまして。ブログをお読みいただき、そしてコメントもいただきありがとうございます。
上記のコトバは本書には書かれていないのですが、無意識の活用方法については書かれています。
「汝自身を知れ」という言葉はさまざまな解釈があると思いますが、ここでは記事のように書かせてもらいました。
「無意識を知る」ことが何を意味するかは、また別の意味で難しい問題です。
3. Posted by キリゴンズ   2008年11月22日 10:04
5 bestbookさん、ご回答ありがとうございます。
>「無意識を知る」ことが何を意味するかは、また別の意味で難しい問題です。
僕もそう思います。精神科医の方とは理解のレベルは違いますが(笑)
ずっと僕は、汝=理性・顕在意識と認識していました。そして、もがいていました。
そんな僕にとって、汝=無意識・潜在意識というコトバは、まさに目からウロコです。気づきを与えてくれました。
感謝です。
4. Posted by bestbook   2008年11月23日 01:30
5 キリコンズさん、コメントありがとうございます。
自分自身を知ることは、ほとんどの人の課題だと思います。自分自身を知るつもりがなくさまざまな活動をしている方も、後から振り返ると過去の自分の活動は自分自身を知る一つの過程であったと気付くことがあります。
本ブログが気づきを与えたということはないと思いますが、結果的に何らかのきっかけになったということであれば嬉しく思います。ありがとうございます。
5. Posted by Shinoby   2008年11月25日 04:48
拙書をご紹介いただきありがとうございます。まさに著者として言いたかったことを簡潔にまとめていただき、大変ありがたいレビューの内容です。

これからもビジネス書のご紹介、楽しみにしています。

 内藤 忍
6. Posted by bestbook   2008年11月26日 01:43
Shinobyさん、著者よりコメントいただきありがとうございます。また、ブログでのご紹介ありがとうございます。

資産運用の本で自己啓発的なことを少し書かれていたので、本書は期待して読み始めましたが、期待を裏切らないすばらしい内容でした。

個人的にもいろいろと心に響く点があり、大いに参考になりました。今後の御著書も楽しみにしています。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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