2008年11月30日
『「大恐慌」以後の世界』
浜田 和幸著 2008年11月25日発行 1000円(税込)
金融危機に端を発する世界的な景気後退を経験しつつある世界経済についての本です。本書はペーパーバックなので、推測や著者の主観も取り入れて書かれています。カッコ付きですが、タイトルに「大恐慌」という言葉が使われていることからもそのことがわかります。
昨日ご紹介した『世界恐慌を生き抜く経済学』と比べると、扱われているテーマは同じながら、かなり異なった印象を受ける本です。昨日の本は多くの著者によって書かれていますが、本書は一人の著者によります。著者の推測もかなり入っていますが、逆にその推測の部分が面白いと思います。
本書の章の内容は以下の通りです。
- 世界覇権を失いつつあるアメリカ
- ドル暴落と通貨の多極化
- 危機は最悪のシナリオで進行する!?
- 誰も止めなかったウォール街の暴走
- 怒れ市民!彼らはグルだ!
- 石油高騰の裏側で
- 中国経済も崩壊寸前!?
- インド、ロシアと新冷戦
- アメリカの逆襲
本書の読みどころは、さまざまな事柄の背後にある見えにくい意図や力関係が解説されているところです。そこには著者の推測も入っており、確証は取れませんが、これは事の性質上仕方ありません。
著者が大きく予測されているのは、「新冷戦」と「食糧危機」です。これらの原因としては、アメリカの衰退による世界の多極化と、人口増加があります。
日本については、「100年に1度あるかないかの「アメリカとの関係をゼロから再構築できる」チャンスと捉えるべき」と書かれています。
今までは、アメリカとの距離の取り方だけに多くのエネルギーを割いていればよかったわけですが、今後は自立的にさまざまな国との関係を主体的に構築しなければならないようです。
これからの日本の状況は、夫の稼ぎがよかったときは、亭主をいかにコントロールするかだけを考えていればよかった専業主婦の夫がリストラに遭い、妻も働く必要が出てきて今後は妻も社会との関わりを主体的に考えねばならなくなった女性の状況に似たものがあります。
戦後の日本はアメリカという強い夫がいたため、その庇護の下で経済成長を謳歌できました。戦後の日本は女性性が強い国だったと思います。そして現在もその状態は続いています。夫が強かったので安心して家で仕事に励むことができましたが、常に夫の機嫌をうかがう必要があったわけです。
今後の世界情勢を考えると、これからの日本には自らが男性性を持つことが必要になってくるはずです。女性のまま中国という新しい男性と特別に親しくなる方針は、まだまだ女性の方が稼ぎがよいため感情的にプライドが許さないでしょう。また、中国の男性としての未成熟さもあり、すぐには難しいことでしょう。
よって日本は両性具有的な存在になる必要があります。欠けているのは男性性ですが、男性性には、決断力、主体性、理論的な表現力、責任を取る能力、戦略的に交渉する能力などが必要とされます。
今後日本が国際社会でプレゼンスを保てるかどうかは、日本が国として男性性を発達させることができるかどうかもかなり影響すると思います。現在の日本が持っている力が大きいにもかかわらずどこか存在感に欠けるのは、国際社会で男性性を持った存在として見られていないからかもしれません。
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この記事へのコメント
やっぱり、戦争に負けて「去勢」されちゃった、ということなんでしょうか。
なるほど「去勢」ですね。男性性が強かった戦前の日本は、アメリカにとって少し前のイラクや北朝鮮とは比べものにならないくらい、手に負えない存在だったはずです。
去勢するというアメリカの方法は成功だったようで、ずっと二匹目のドジョウを探しているようですが、なかなか思い通りにならないようです。









