2008年12月02日

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『人は意外に合理的』5

ティム・ハーフォード著  遠藤 真美訳

2008年11月19日発行  1890円(税込)

人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
著者:ティム ハーフォード
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2008-11-20
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著者はファイナンシャル・タイムズの編集委員をされている方で、過去にも経済学の啓蒙書として『まっとうな経済学』を書かれています。本書の原書のタイトルは『The Logic of Life』(生活の論理)で、日常生活における諸現象の仕組みを経済学的に説明しています。

本書の和訳のタイトルは、少し前に紹介した『予想どおりに不合理』を思い起こさせます。先日の本は人間の経済活動における不合理性に着目した行動経済学的な内容でしたが、本書は人間の日常生活に潜む合理性に焦点が当てられています。



両者は正反対の方向にあるように思われますが、洞察により日常生活における諸現象に対する理解を深めるという点において、同じような歯ごたえのある読後感があります。

本書で扱われているテーマは、ギャンブル、結婚や離婚、給与体系、居住空間、人種差別など多岐にわたります。最終章では、人類の100万年の歴史と進歩についての考察まであります。

本書の主旨は、人間の日常生活の多くの局面には、よく考察するとしっかりと合理的な判断が働いていることが多いということです。興味深いのは、一人一人の人が経済学的なことを理解していなくても、自然に合理的な行動をしているということです。

ちょっと不思議な感じもしますが、動物や昆虫の習性や行動にも合理性が観察されることから、必ずしも一人一人の人が合理性を意識したり理解したりしなくてもよいことが分かります。

ただし、動物や昆虫の場合は生活環境の変化が乏しいので長年の進化が合理性を形成していると考えられます。人間について面白いのは、後天的に存在する仕組みについても合理性が見られることです。

先天的なこと、たとえば摂食や繁殖行動について合理的なのは、動物や昆虫と同じく合理的でも不思議さはないのですが、後天的にできた社会的な仕組みについてもそれなりの合理性が観察されることです。

常に意識しながら行動していれば、合理的でも不思議ではないのですが、意識しなくても結果として合理的になっているのが興味深いと思います。

おそらく、この理由はもともと先天的なものと後天的なものは、言葉から受けるイメージほどには対立的なものではないからなのでしょう。人間の社会の後天的な仕組みは、先天的に存在するヒトの仕組みの上に成り立っているからであると思われます。

人間が後天的に作り上げた社会の仕組みは、本能と対立的に考えられることがよくありますが、対立的なものではなく、本能の延長線上に存在するものであると思われます。なぜならば、人間が社会において無意識的に行動しても、本書にあるように、それなりの合理的な行動が形成されることがあるからです。



investmentbooks at 23:57│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経済学 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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