2008年12月03日

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『100年に一度の金融危機から資産を守る方法』4

諸岡 実麿著  2008年12月16日発行  1575円(税込)

100年に一度の金融危機から資産を守る方法100年に一度の金融危機から資産を守る方法
著者:諸岡 実麿
販売元:フォレスト出版(株
発売日:2008-12-04
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著者は外資系金融機関で金融商品を開発されてきた方です。本書のタイトルには、「資産を守る方法」とありますが、本書に書かれているのは、資産を守る方法というよりも、著者の世界経済やマーケットに対する見方です。

かなり推測的なことが書かれているので、著者の予測が当たれば資産が守られるのみならず、資産が増えることになると思います。しかしながら、増える可能性があるということは、逆に予測がはずれたときにはその逆になる可能性もあると思われます。



アメリカと世界経済について、悲観が世界中を覆っていますが、本書に書かれていることは、そのような点からは少数派に属するのかもしれません。

今後はアメリカが長期的に凋落傾向にあり、世界が多極化するという見方が広まりつつありますが、本書での予測はアメリカの一極支配と世界経済の成長の継続です。理由としては、ドルの下落は世界中が望んでおらず、世界経済が発展し続けるためには、今までのようなドルの資金循環が必要であるということです。

本書にはそのことについての政治的な理由や、今後の展望についても書かれています。本書に書かれてシナリオが実現するのであれば、現在のアメリカや世界経済の減速は、長期上昇トレンドにおける大きな調整期間にすぎないということになるのでしょう。

もしもそうであるならば、今後今までの大きな下落に対する大反騰相場が到来するはずです。その流れで著者の相場観についても述べられています。著者の相場観では、まだ大底は来ておらず、その大底を示唆する事柄についてのヒントも書かれているのですが、そのあたりまで書いてしまうと、推理小説の結末を書いてしまうことになってしまいます。

本書は最初に書いたように予測本なので、本書に書かれていることが実現するかどうかは時間が経たないとわからないところです。もしも本書に書かれていることが実現するとすると、現在暴落している金融株や不動産株の反騰の勢いはすさまじいことでしょう。

本書に書かれていることが実現しなかったとしても、著者の予測がはずれた理由や、本書の読者が本書を読んで考えたことと現実とのギャップが時間の経過とともに明らかになってくるのは、将来の経済やマーケットを眺める参考になると思います。

2年前にマーケットが現在のような状態になると予測した方はいましたが、少数派でした。しかしながら、少数派の予測が実現しています。何でも反対に考えればよいというわけではありませんが、現在の状況から考えてあり得そうにない予測ほど、切り捨ててしまわずに注意する必要があるのかもしれません。



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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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