2008年12月12日

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『セックスと科学のイケない関係』4

メアリー・ローチ著  池田 真紀子訳

2008年11月25日発行  2100円(税込)

セックスと科学のイケない関係セックスと科学のイケない関係
著者:メアリー ローチ
販売元:日本放送出版協会
発売日:2008-11
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名前からもわかるように、著者は女性の方です。過去にも翻訳されている本が2冊あり、それらのタイトルは『霊魂だけが知っている』『死体はみんな生きている』です。性と死が著者のテーマなのかもしれません。

タイトルには「イケない」とありますが、原著では「curious(興味深い)」という言葉になっており、本書の内容も日本語のタイトルから受ける印象ほど「イケない」わけではありません。実際のところは、セックスのこれまでの科学的研究について、大真面目に取材されてまとめられています。



科学的な研究の本なので、全体的に即物的な印象を受けます。本書のような本は、著者が女性だからこそ書けたのかもしれません。男性はセックスに対して観念的なファンタジーの世界に生きていたい面があるので、あまりにも生々しい科学的な研究については精神的に「萎えて」しまうかもしれません。

本書は注釈が豊富な本で、本文以上にユーモラスに書かれているのですが、そうでもしないと全体のバランスが取れないのでしょう。

本書にはさまざまなセックスについての科学的研究が述べられていますが、本書を読んで思うのは、セックスについてはほとんど研究がされていないことです。被験者も集めにくいですし、助成金も集まらないようです。

著者自身も男女が結合している時の状態をエコーで調べる実験に、夫を誘って参加されていますが、この実験の被験者はなかなか見つからなかったそうです。

本書は興味深い本なのですが、読んでいてどことなくしっくりこないのは、科学的すぎて実用性に乏しいからかもしれません。食べ物で考えると、食物がどのように消化されるか、舌の構造がどうなっているか、食物の成分がどのようになっているかということなどが書かれているような感じです。

おそらく、食べ物について多くの方が知りたいのは、どのようにして美味しい食事をするか、どのようにすれば美味しい食事を作れるか、美味しい店はどこかといったことでしょう。

セックスについては精神的に語れられることが多く、本書のような即物的な内容の本はあまりありません。セックスについて理解するためには、両方の要素の理解が必要ですが、二つのものが分かれた形で理解するのではなく、最終的には統合された形で理解するのが最もしっくり来るのではないかと思います。

これは人間に心身の両面があることによりますが、人を理解する場合も身体面と心理面の両方を理解しないと本当に理解できたとはいえません。これは他者のみならず、自分自身についてもそうです。

他者については身体的に表現されたものに理解が偏りやすく、自分自身については心理的な側面に理解が偏りやすい傾向にあります。

セックスと付き合っていくのが一般的に難しいのは、男女が対立しながらも融合しないといけないところにありますが、それ以外にも精神と身体を統合させる難しさも理由としてあります。

ただし、セックスの喜びの本源が異質なものを融合させることにあることを考えると、この対立構造は本質的なものです。もともとが異質なものでないと融合することが成り立ちません。

本書は、セックスについて書かれていますが、セクシャルな本、言い換えると官能を刺激するような本ではありません。セクシャルな内容を予想すると期待はずれになるかもしれませんが、そのような内容を期待せずに読むと、逆に面白い本であると思います。



investmentbooks at 23:52│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--男女関係 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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