2008年12月20日

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『この金融政策が日本経済を救う』4

高橋 洋一著  2008年12月20日発行  777円(税込)

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)
著者:高橋洋一
販売元:光文社
発売日:2008-12-16
おすすめ度:3.0
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高橋洋一氏の新刊です。本書の内容を一言で述べると、「金融緩和のススメ」になるかと思います。現在の日本経済にとって、緩和的な金融政策が必要であることを、経済学的に主張されています。

著者の主張は明快ですが、本書は新書本ということもあり、理論的な背景などについてはやや詳しい説明が不足している部分もあるかもしれません。



日銀が金融について引き締め的な政策を取りがちな傾向にあること考えると、本書は日銀の金融政策についての批判の書にもなっています。

本書に書かれている金融政策についての考え方は、話としては納得いきますが、経済は生ものなので、実際に日本で行ってどのような結果が生じるかは、実行してみないとわからないところもあるでしょう。

緩和的な政策は引き締め的な金融政策と比べると、バブルになる危険性は高くなるのですが、そのリスクを取らない低空飛行と、どこかに飛んでいってしまいかねないリスクを取ってある程度の高度で飛行を続けるかの選択です。あまりに低空飛行を続けていると、それはそれで地面に落下してしまうリスクが生じます。

著者はマイルドなインフレがよいと書かれていますが、インフレは時間とともにお金の価値が下がること、デフレは価値が上がることです。

お金の役割としては、価値の貯蔵手段と価値の交換手段があります。それ以外にも価値の尺度としての役割がありますが、ここでは前者二つの役割を考えます。

デフレでは時間とともにお金の価値が上がるため、価値の貯蔵手段に比重がかかり、インフレでは時間とともにお金の価値が下がるため、価値の貯蔵手段としての役割が小さくなります。相対的に価値の交換手段としての役割が大きくなります。

価値の貯蔵手段としての役割が大きくなると、価値の交換手段としての役割が相対的に低くなってしまいます。デフレからインフレに転換させることは、お金の価値の貯蔵手段としての役割を相対的に減少させることです。

お金というものはもともと実体的な価値がないものなので、貯蔵手段を重視するより交換手段を重視するべきものではないかと思います。著者が望ましいとされるマイルドなインフレにおいて、お金の価値の貯蔵手段と交換手段のバランスがもっともよいのでしょう。

著者が日銀の金融政策に対してどのようなキャッチボールの球を投げたかは、本書も含めていままでの本からよくわかります。日銀の方にも言い分があると思うので、できれば同じ議論の土俵でどのような球が返ってくるのか見たいところです。

日銀にも金融を引き締め気味にすることについての言い分があるはずです。



investmentbooks at 23:37│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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