2008年12月21日

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『世界連鎖恐慌の犯人』4

堀 紘一著  2009年1月7日発行  1000円(税込)

世界連鎖恐慌の犯人 (Voice select)世界連鎖恐慌の犯人 (Voice select)
著者:堀 紘一
販売元:PHP研究所
発売日:2008-12-18
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本書を書くことについて著者はかなり迷われたそうですが、迷われただけあり、かなり主張がはっきりした本です。著者はコンサルティング会社の社長をされている方ですが、さまざまな利害関係があるので、はっきりとした意見を述べることは、ビジネスにおけるリスクがあるようです。

本書の論点を簡潔にまとめると、「今回の世界的な金融危機は、投資銀行やヘッジファンドのお金に対する強欲によってもたらされたものである」ということになるかと思います。



本書で解説されている投資銀行やヘッジファンドの役割、金融工学や金融資本主義についての解説は、その方面についてある程度の知識がある方であれば、あまり新しい内容のものはないかもしれません。

その方面について本書で面白かったのは、著者が業界と関係したいくつかのエピソードです。ヘッドハントの際の金額など、具体的で興味深いものがありました。

投資関連の話では、不動産の暴落は株の暴落の1年程度のちにやってくるので、来年は不動産が暴落するかもしれないという話などがあります。日本の地価が下落をはじめたのも、株式のバブル崩壊と少しタイムラグがありました。

本書を読む限りでは、著者はビジネスにおいてかなり「想い」を重視される方である印象を受けます。実体経済を重視される著者のような方からすると、ハイレバレッジなどによる行き過ぎた金融経済は、本書に書かれているように、あまりいい感じでは目に映らないようです。

最後の方で著者も書かれているように、実体経済と金融経済は適度なバランスの割合があると思います。今回の金融危機で、金融経済に対するマイナスの評価が世界的に広がると思いますが、日本に関しては金融経済に対するバランスがまだ過小なのではないかと思います。

金融工学は取り扱いに注意するべきものですが、やはり有用なものであると思います。過去20年くらいの間に日本が金融工学をうまく利用できていれば、日本の国富は増えていたことでしょう。金融工学を利用して増やすことができる金融資産を日本人は持っていました。

ビジネスに対する「想い」のない金融はよくないと思いますが、もの作りと同じように金融に魂を込めることができれば、金融は経済を発展させる大きなパワーを持っていると思います。

たとえば、日本には大きなリスクを取るマネーがあまりないので、世界的に大化けするような新産業がなかなか出てきません。著者が書かれているように、現在のような状況においてこそ、次の時代に花開く新しい事業の芽があるはずです。

しかしながら、日本ではマネーにおけるリスクスペクトラムが十分ではないと思います。もの作りのみならず、金融にも熱い想いを乗せたいものです。



investmentbooks at 23:50│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--世界経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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