2009年01月11日
『早わかりサブプライム不況』
中空 麻奈著 2009年1月30日発行 735円(税込)
早わかりサブプライム不況 「100年に一度」の金融危機の構造と実相 (朝日新書 155)
著者:中空 麻奈
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-01-13
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「サブプライム不況」という言葉がタイトルに含まれる書籍は本書が初めてのはずです。本書は、サブプライム問題と現在進行形の世界同時不況についてわかりやすく述べられている内容なので、タイトルがピッタリだと思います。
著者は外資系証券会社でクレジット調査の仕事をされている方です。本書に述べられている見解は、著者の所属される会社とは関係ない旨が前書きでただし書きとしてありますが、それだけ自由に御自身の考えを書かれているようです。
本書の各章のタイトルは以下の通りです。
- 世界一簡単に「サブプライム問題」を解説する
- 「金詰まり」のマグマが蓄積された
- なぜリーマン・ブラザーズは破綻したのか
- 世界同時不況で起こること
- 世界は米国のために働いている?
- 日本はどこへ行く
現在の「世界同時不況」について、その原因、現状、これからの展望など、経済情勢に関心がある多くの人が興味を持っていることが非常にわかりやすく述べられています。
本書は新書なので、経済の知識があまりない方でもわかりやすいようにかなり意図的に書かれているようです。技術的な詳しいことについては、思い切って説明を省略されているので、知識がある方にとっての読みどころは、サブプライム不況の解説ではなく、著者の主観的な考え方だと思います。
本書の特徴として、図表のポイントが押さえられておりかなりわかりやすいこと、新書にしては定量的な考察が充実していることなどがあります。日本の地銀の分析なども参考になります。
リーマンの破綻に対する著者の「仮説」は、自分も含めてそのように考えている人も少なからずいると思いますが、問題の後始末がすっかり片づいた後に「ポールソン回顧録」といったような本が出るまでは何とも言えないところです。
気になる今後の予測ですが、著者によるとアメリカの大底は2010年頃という見立てです。リーゾナブルな楽観的予測という印象です。
日本については、現在の状況は自分たちが考えている以上にチャンスであるので、主体的にそのチャンスを生かすべきと述べられています。「日本の大手金融機関が証券化商品の新たな市場をめざして先導役を務めてもいい」と書かれていますが、そこまでのイニシアティブを取れれば日本も大したものです。
今回の世界同時不況が日本のとってチャンスだとすると、一番の意味は、日本がこれからどのようにするべきかについて日本国民が主体的に考えるきっかけになることにあるのではないかと思います。つらい思いをしないとなかなか自己洞察に結びつきません。








