2009年01月13日

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『マネー力』4

大前 研一著  2009年1月30日発行  840円(税込)

マネー力マネー力
著者:大前 研一
販売元:PHP研究所
発売日:2009-01-17
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本書は今日の時点においては、アマゾンでは予約しかできませんが、一昨日の時点では書店で並んでいました。本書は著者名で買った本です。

本書は序章と終章を合わせると全部で8つの章からなりますが、半分以上は昨年度の雑誌のインタビュー記事がもとになっています。



そのこともあるのでしょうが、繰り返しが多く、著者の学校の講座の宣伝的な内容も含まれており、本としては期待していたほどの完成度はありませんでした。

独立した本としては物足りない面もありますが、比較的最近の雑誌に載せられた著者のインタビューをまとめて読めるという点では、面白いと思います。

本書はマネーの具体的な運用方法を学ぶというよりも、著者のグローバルな実体験や人脈から得られた世界経済の大きな流れを、著者独自の自由な発想から述べられているところに意味があります。

本書の内容を一言で述べるとするならば、「日本人のマネーをグローバルに運用せよ」ということになります。数年前に盛り上がった資産運用ブームは、ここ最近は金融危機の影響ですっかり鳴りを潜めてしまいました。

著者の発想は一般的な生活を送っている日本人にはついて行けないものがあるかもしれませんが、それだからこそ日本全体のバランスを取るために必要なのかもしれません。

基本的に男性性は現実離れした夢を語り、女性性は現実に即した生活を重視する傾向にありますが、著者のような存在は男性的、日本国民の多くは女性的と考えるとよいでしょう。

企業で考えると、社長が社員からすると非現実的と思われるような大風呂敷を広げ、会社がうまく引っ張られるというパターンがあります。

現在の日本国民は物作りや真面目に働くという点では女性性が強い状態にあります。国をリードする政治家や官僚の方が男性性が強ければ、全体のバランスが取れると思うのですが、政治家や官僚の方も女性的な調整型が主流です。

終章で著者が日本に対して提案されていることは、以下のようなことです。

  1. 個人の金融資産を高齢者から若者に移す
  2. 21世紀にふさわしい都市作りを行う
  3. 道州制への移行

本書には具体的なことが説明されていますが、かなり大胆なことです。おそらく細やかに調整しながら行おうとすると、いつまで経ってもできないようなことです。

残念ながら著者は政治家ではないので、これらのプランを直接実行することができません。著者の主張は男性性が強いと思いますが、政治の現場において実質的な権限がないという点では、必ずしも男性的な存在ではありません。

やはり現在の日本に欠如しているのは男性性だと思います。男性性の強い存在が日本に出現する場合、どのような形になるかはわかりませんが、そのような存在が日本に登場するまで、日本の主体的な発展は望めないかもしれません。なぜなら、主体的に引っ張る存在がいないからです。

残念ながら、それまでは日本の景気は世界全体の景気次第かもしれません。もしも運よく事態が展開するとしたら、どのような形の男性的な存在が出現するのか楽しみではあります。



investmentbooks at 22:45│Comments(4)TrackBack(0)clip!本--投資一般 

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この記事へのコメント

1. Posted by ホリ   2009年01月13日 23:40
5 こんばんは。

大前さんの著作は過去のやきなおしが多いですよね(笑)

最近読み応えがあったのは『ロシアショック』
でしょうか。
大前さんの情報収集力は驚異的ですが、それぞれの分野で情報収集役がいることがその秘密のようですね!


>残念ながら著者は政治家ではないので、これ らのプランを直接実行することができまん。

大前さんが都知事になっていたらどのような政策をとっていたかがすごく気になります。

2. Posted by bestbook   2009年01月14日 23:22
5 ホリさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

とくに本書はやきなおしと繰り返しが多かったように思います。

『ロシアショック』は買っていませんが、面白そうですね。一般的に関心を持たれていないところに注目されているのが著者のすごいところです。

これからでもよいので、なにか政治の実務的なことをやってもらいたいものです。必ずしもうまくいかないかもしれませんが、日本が活性化すると思います。
3. Posted by UI   2009年01月16日 19:57
4 はじめまして。

逸早いレビューありがとうございました。参考になります。

確かに大前研一さんは繰り返しの内容が多いと思います。主張が一貫していて理路整然としてはいるんですけどね。

ロシア・ショックはおすすめですよ。先入観のないロシアが分かりますし、隣人に対する理解が深まります。あと大前氏の隠れた名著としては「親が反対しても、子供はやる」という実体験を交えたゼロベースからの教育論が書かれた著書があります。個人的には実はこれが一番の著書だと思っています。ぜひおすすめです。
4. Posted by bestbook   2009年01月17日 01:28
5 UIさん、はじめまして。コメントいただき、ありがとうございます。

大前研一さんの本は、行間から著者のパワーをいただくこともできるので、繰り返しが多くてもいいかなとも思います。ただし、本書はあまりにも多いので、ブログの記事を読んで買った方が後悔しないように、敢えて指摘させてもらいました。

ロシアショックはおすすめいただくことが多いので、買ってみようと思います。確かにロシアは日本にとって重要な国ですね。日本と距離的に近いですし、国のあり方としては補完的な国ですね。共産主義体制の時は、日本の「敵国」だったので、その時代のマイナスイメージが残っているようです。

教育論の本についても、目を通してみたいと思います。おすすめいただき、ありがとうございます。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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