2009年01月14日

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『大激震』4

堺屋 太一著  2008年12月22日発行  1680円(税込)

大激震大激震
著者:堺屋 太一
販売元:実業之日本社
発売日:2008-12-10
おすすめ度:4.0
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昨日の大前研一氏の『マネー力』と同じように、本書も著者名で買った本です。昨日の本は雑誌のインタビュー記事がまとめられていましたが、本書も似たようなつくりで、講演録がまとめられています。

単行本ということもあるためか、昨日の本よりは各章の内容も重複が少ない印象です。講演録がもとになっているので、読みやすく書かれていると思います。各章のタイトルは以下の通りです。



  1. 日本の凋落---今こそ「明治維新的改革」を
  2. 日本とは何か---歴史分析から日本のあるべき姿を探る
  3. 「団塊の世代」が日本を変える!---過酷な世界競争に打ち勝つ大きな存在
  4. 知恵の時代こそ、「個性」が大切---「世界唯一」で地域を興せ
  5. 大きく人類文明が変わる局面に来た---人類の先駆けは芸術にあり
  6. 世界を創った男チンギス・ハンに学ぶ---見えてきた基軸通貨米ドルの行方
  7. 新代「知価社会」の誕生---世界危機脱出の唯一の方法

チンギス・ハンが出てくるのは、著者はしばらく前にチンギス・ハンの小説を書かれていたからです。当時の「グローバル化」や貨幣制度について、現在のアメリカと重ねて考察されていたあたりは興味深いと思います。

著者が20年以上前から提唱されているのが、本書で繰り返し出てくる「知価革命」「知価社会」です。規格化されたモノを大量生産する時代から、情報や知識が価値を持ってくるということのようです。

著者の本で特徴的なのは、歴史的な視点ですが、本書もその見方が充実していると思います。本書を読んでいると、現在の日本や世界の理解には、今までの日本史や世界史の理解が役に立つということがよくわかります。

歴史は大人になるまでに学校で習いますが、実際のところ歴史の面白さが身にしみて分かるのは、社会に出た後に、世の中の多くの部分がパワーゲームで成り立っていることを実感してからだと思います。

明治維新を振り返って、著者は以下のように現在の日本に必要な改革を提唱されています。

  1. 日本を外国に解放
  2. 公務員制度の改革
  3. 道州制改革
  4. 金融・財政制度の改革
  5. 教育と軍制の改革

いずれも明治維新で大胆に行われたことで、その後日本は急速に発展し、国際社会における遅れを取り戻すことができました。

明治維新では改革ができたのに、現在できない理由は、やはり現在は当時ほどの切迫感がないからでしょう。巷では不景気と言われていますが、本当の意味での切迫感を感じることはできません。

昨日の大前研一氏にしても、本日の堺屋太一氏にしても、日本人が切迫感を感じていないことに著者の方々が切迫感を感じているように読めます。アプローチの方法は異なりますが、両氏が言われていることは本質的には同じことです。

両氏とも10年以上前からメッセージを発し続けていますが、少しずつ形を変えながらも同じことを書き続けているのは、まだまだそのメッセージが届いていないからなのでしょう。

お二人とも決して非常にお若いわけではありませんが、そのような方が改革のメッセージを発し続けているところに、現在の日本の問題があるのかもしれません。

お二人が改革を口にされるのは、時代の変化を乗り切れるだけの蓄えと力をお持ちだからであり、おそらく多くの年配の方々は自分にとってデメリットがあるような改革は望まれていないはずです。

社会の改革は上の世代から言われてするものではなく、明治維新でそうであったように、若い世代が自発的に行うべきものですが、若い世代がどうしようもできないところ、あるいはどうしようもできないと思っているところが一番の問題であると思います。



investmentbooks at 23:17│Comments(2)TrackBack(1)clip!本--日本経済 

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1. 大激震  [ 書評リンク ]   2009年01月15日 21:39
書評リンク - 大激震

この記事へのコメント

1. Posted by ホリ   2009年01月15日 00:06
5 こんばんは。

堺屋さんには多くの著書がありますが、私は今までに1冊しか読んだことがありません(汗)
テーマは少子高齢化であったと思います。

堺屋さんの著書は非常に興味をひくものがあり書店でも一度手に取ってみるのですが、なぜか苦手意識を感じて棚に戻してしまっています。

意図的ではないにしろ好んで読んでいるのは比較的若い著者さんの本にかとよっている気がします。
こういった傾向を改善するうえでも年配の方の著書も読まなくてはと思った次第です。


ご紹介の本には明治維新のエピソードがあるのですね!
私は司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を読み心をあつくした土佐出身の男児ですので、上の世代にばかりたよるのではなく自分たちの世代から盛り上げていけるように努めていきたいです!


2. Posted by bestbook   2009年01月16日 01:50
5 ホリさん、コメントありがとうございます。

堺屋さんは堅いイメージがあるためか、本がどことなく取っつきにくいイメージはありますね。

若い方の本は勢いがあってよいですが、年配の方の本も経験から学ぶことができて役に立ちます。

本書は明治維新のエピソードは出てきますが、分量としてはそれほどではありません。

今の時代を100年後から振り返ったときに、小説の主人公になるような人が出てきて欲しいですね。今の日本には改革を象徴するようなヒーローが必要だと思います。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
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