2009年01月15日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『失敗に学ぶ不動産の鉄則』4

幸田 昌則著  2009年1月8日発行  893円(税込)

失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ 31)失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ 31)
著者:幸田 昌則
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-01
クチコミを見る

日経プレミアシリーズの新刊です。景気に敏感な不動産市場は景気後退が明らかになる前から早々と冷え込んでおり、いまのところ回復の兆しはなく、上場企業の倒産が続いています。

本書は主に個人向けに、不動産にかかわる場合の基本的な注意点がやさしく説明されています。タイトルにあるように、「失敗」を軸に説明されており、不動産市況がよくない状態の現在においては、本書の内容は気になる方も多いと思います。



本書の最初に書かれていますが、一般的に個人が不動産を購入するときは心が高揚します。そしてしばしば冷静さを失います。多くの人にとって、マイホームを買うのは一生に一度の大イベントだからです。

ほとんどの場合は30年以上にわたる数千万のローンを組むことになりますが、基本的に人は数千万単位のお金や数十年単位の年月を直感的に理解できるようにはなっていません。

感覚的に把握できるのは、月々に返済する金額です。人が数十年にわたって稼ぐことになる経済的資源を直感的に理解できないのは、ヒトの進化の歴史のおいて、そのように考えて行動する時期はほとんどないに等しかったからです。

長期のローンについて直感的に把握できないのであれば、それを理性によって認識するしかありませんが、一生に一度の高額な買い物ということで冷静さを失ってしまいます。

よって本書のような本の必要性が出てくるわけです。しかしながら、本書のような本を読んで、落とし穴について話としては了解していたとしても、その場になるとやはり冷静さを失うことが多いでしょう。

身近にいる住宅のプロは売り手なので、買い手の立場になって相談に乗ってくれることは少ないでしょう。それどころか、営業的に顧客の冷静さを失わせるようなことすらあるかもしれません。

しばらく前から不動産会社の倒産が目立ちますが、これはビジネスの構造上仕方ありません。フィービジネスでない不動産開発においては、土地を仕入れたり在庫を抱える必要がありますが、それらは低い自己資本比率で借金をすることによって成り立っています。

株で考えると、ハイレバレッジの信用取引をしているようなものです。市況がよいときは莫大な利益が生じますが、いったん反転するとその逆になります。株であればまだ流動性がありますが、不動産は単価も大きく、その名前からしても流動性が乏しい資産です。

しばらく前に不動産の流動化が流行しましたが、流動化されるまでに会社は在庫を抱え込むので、流動化といってもリスクは大きいままです。流動化銘柄は最近も倒産していますが、もともとそのような会社の創業者の方はリスクを取るのが好きな方が多いようで、自社株を担保にお金を借りて株を買っていたりします。自分でもリスクを取るので、もちろん会社の業務でも大きなリスクを取っているはずです。

不動産の業界の構造上、景気の変動とともにいくつかの企業が淘汰され、景気がよくなるとまたその波に乗って新しい企業が誕生します。今後も景気の波にしたがい同じことが繰り返されると思いますが、逆に考えると、その波を利用することもできるはずです。

不動産銘柄については、景気回復を先取りするサインとして、またその兆候が見られたときの投資対象として今後も注目したいところです。



investmentbooks at 23:43│Comments(0)TrackBack(1)clip!本--不動産投資 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)  [ 書評リンク ]   2009年01月16日 23:03
書評リンク - 失敗に学ぶ不動産の鉄則 (日経プレミアシリーズ)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ