2009年01月16日

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『金を通して世界を読む』5

豊島 逸夫著  2008年12月17日発行  1890円(税込)

金を通して世界を読む金を通して世界を読む
著者:豊島 逸夫
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2008-12-18
おすすめ度:4.0
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本書は昨年末に発売され、書店に行くたびに気になっていた本です。店頭で売れている印象があります。著者は30年以上にわたり、金の世界に生きている方です。現在も日経マネーDEDITALで、以下のコラムを書き続けておられるようです。

金価格を読むコラム:豊島逸夫のニュース解読

金融危機の時期に出版される金(きん)についての本は、危機を煽って金投資に誘導するような本もありますが、本書はそのような本ではなく、タイトルの通り本当に「金を通して世界を読む」内容です。



本書の目次は以下の通りです。

  1. 金価格上昇の背景---揺れ動く世界経済
  2. 古くて新しい通貨「金」
  3. 金市場を賑わすプレーヤー
  4. 日本でも注目を集める金取引
  5. 金を動かす各国の思惑
  6. これからの金を見るポイント

現在の金市場を概観するにあたり必要なことが満遍なく書かれています。本書は著者が業界で経験されたエピソードなども豊富で、読み物としても面白く読めます。

相場についての見方もところどころで書かれており、金市場のみならず金を通して市場一般を理解する助けにもなります。

ここ数年金が話題になりやすいのは、金価格が長期上昇トレンドにあることに加え、金融危機が不安定になっているからです。金は安定性を象徴する物質なので、不安定性の時代には相対的な価値は上昇します。

資産としての金の特徴は、それ自体がキャッシュフローを産まないということですが、だからこそ価値に普遍性があると思われているのかもしれません。価値が利息や配当などに依るとすると、その価値はキャッシュフローの消失によってなくなってしまう可能性があります。

また金の特徴として、実用性が少ないということがあります。実用性があるとすると、その価値は実用性の価値によって変動します。レアメタルなどがその例です。金は「使う」という消費の概念が乏しい物質であるからこそ、資産として価値がクローズアップされやすくなります。実用性があると消費されてしまいます。

産出量が限られている、腐食しない、燃えないなどの特徴も重要なポイントです。資産としてのマイナス点としては、重くて持ち運びや保管が大変ということがあります。

以上に述べたようなことがあるため、金は独自の存在を長年に渡り保ち続けています。

金が高くなる時期は、現在の体制が不安定になる時期です。金の上昇を主張する人は、現在の体制に満足していない人が多いかもしれません。

不安定な時期とは、根本的な部分が大きく変化している時期なので、今後金がさらに上昇するとすると、これからの時期は世界のあり方が大きく変化している時代ということになるのかもしれません。

ただし、金の価値があると考えられているうちは、まだまだ本当の危機ではありません。全人類の本当の危機であれば、金すら価値がなくなってしまうことでしょう。

数日後に巨大隕石が地球に衝突する状況を考えてみるとわかりますし、自分の寿命があと数日という状況を想像してもわかります。金に価値があるといっても、集団的な思いこみによるものであり、本質的には貨幣と同様です。貨幣を物質的に表現した場合、金は最も純粋な形態なのかもしれません。



investmentbooks at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--投資一般 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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