2009年01月17日

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『米金融危機、日本の活路はどこにある!?』4

竹森 俊平他  2009年1月19日発行  1260円(税込)

米金融危機、日本の活路はどこにある!? (洋泉社MOOK)米金融危機、日本の活路はどこにある!? (洋泉社MOOK)
著者:竹森 俊平他
販売元:洋泉社
発売日:2008-12-19
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本書は半年近く前に紹介した『米国発世界不況で日本はどうなる!?』の続編です。前作から情勢がめまぐるしい速さで進展しており、さっそく続編が出たものと思われます。

本書は以下の13名の方のインタビューや論文が集められたものです。半分以上の方は、本ブログで著書を過去に紹介させていただいたことがあると思いますが、旬で豪華なメンバーです。



以下の目次はアマゾンの紹介から転載したものです。

【PART1 この金融危機にどう対処すればいいのか?】

File01 未曾有の金融危機に対応するには日本は100兆円規模の予算が必要だ---竹森俊平
File02 <迫る米経済崩壊の最終幕>日本政府は何としても実体経済は守るという姿勢を見せよ---小幡績
File03 <基軸通貨をめぐる攻防>ドル一極支配から多極化、無極化の時代へ---倉都康行
File04 オバマは第二のルーズベルトになれるのか---中岡望
File05 現政権と民主党ではどちらが日本経済を救えるか---山崎元
File06 景気指標から読み解く日本経済の行方>不況下でも伸びる日本企業はこれを徹底させている!---小宮一慶
File07 <トヨタにみる日本企業再生の鍵>トヨタイズムを忘れたトヨタよ、企業の使命を思い起こせ---井上久男

【PART2 日本再生の方策はこれだ!】

File08 日本版マーシャルプランが世界経済を救う!---三國陽夫
File09 バクチ経済を捨て、適正なサイズの国家を目指せ!---ビル・トッテン
File10 多極化する世界、日本は「脱米入亜」すべし---田中宇
File11 日米同盟は空洞化が進み、日本は否応なく自立を迫られる!---田岡俊次
File12 君はグローバリゼーションの"悪夢"から目醒めたか---東谷暁
File13 新自由主義経済が破綻したいまこそ、日本という国のあり方を再考せよ---佐伯啓思

それぞれのタイトルから内容の想像がつく場合もあるかもしれません。

現状を反映してか、全体的に悲観的な印象を受けます。前向きな主張としてよくあるのは、日本は現在の金融危機をチャンスととらえるべきとするものです。

ここ数年の感じでは、「構造」を主体的に変えるのは難しそうなので、今回のようなことがあれば、構造を変化させやすい状況も到来するかもしれません。

日本にとってよくないシナリオは、今後の景気後退において国が借金をして援助することによって現在の産業構造をそのまま温存し、国の負債だけが増えていたという展開でしょう。

他の国の問題点が景気後退を経ることによって改善されるとすれば、日本は相対的な競争力をますます減少させてしまいます。

個人的に本書で最も興味深かった内容は、三國陽夫氏へのインタビューでした。日米の債権債務の構造について考え直すことができます。国家間の巨大な債権は結局返済される見込みがないので、その債権をどのように利用するかという視点が新鮮です。

いずれにしろ、今後日本は国単位で主体的に判断して行動しないといけないのは間違いないと思います。日本が現在そのようにできないのは、おそらく何らかの国家システム上の不足があるのかもしれません。

経済の問題も政治の問題も、最終的には国の体制の問題です。全国民が数年かけて憲法を作り直すくらいの議論をしてもよいのではないでしょうか。少なくとも議論をすることで問題意識は高まり、主体的に関わっているという感覚が得られると思います。

国民が主体的に関わっていれば、国の体制も主体性が強くなることでしょう。日本はまだ戦後の本当の処理が終わっていなかったのかもしれませんが、今回の金融危機でその処理を完了するチャンスが生じるかもしれません。単に景気が回復すればよいというような問題ではないと思います。



investmentbooks at 23:48│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--世界経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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