2009年02月04日

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『会社は毎日つぶれている』4

西村 英俊著  2009年1月8日発行  893円(税込)

会社は毎日つぶれている (日経プレミアシリーズ)会社は毎日つぶれている (日経プレミアシリーズ)
著者:西村 英俊
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-01
おすすめ度:5.0
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著者は日商岩井がニチメンと経営統合して双日となる前から日商岩井の社長をされていた方です。2004年の統合後はCEOとして双日の過去の事業のリストラを断行され、その後辞任されています。

本書は社長に向けてそのあり方を語りかけるスタイルを取りながら、会社における社長の役割についてわかりやすい言葉で解説されている本です。



株主総会や社外取締役などについても言及されており、上場企業の社長に向けても書かれているようですが、一般の中小企業でも十分に役立つ内容です。

本書に書かれていることを一言で述べるとすると、「社長としてやるべき事をやる」ということになりますが、これは「言うは易し、行うは難し」です。それを敢えて行うのが社長の役割であるとされています。本書から伝わってくるのは社長の孤独さです。

タイトルの「会社は毎日つぶれている」ですが、これは会社がつぶれる原因となるようなトラブルは日常的に起こり続けていることを言っています。そのリスクを管理するのが社長の仕事です。

人間の体内においても毎日ガン細胞が発生し、免疫機能が働き続けることにより発生したガン細胞を死滅させていますが、社長は会社の免疫機能と言えるかもしれません。免疫機能は自然治癒力の司令塔です。

従業員からすると会社はそこにあるものであり固定的な存在ですが、経営者から見ると常に動きがありリスクコントロールが必要なものです。資産運用で考えると、銀行預金と株式投資の違いです。会社を静的に見るか動的に見るかが従業員と経営者の違いかもしれません。

自然環境の本来のあり方からすると、変動的で動的なあり方の方がより現実に近い認識です。固定的で静的なのは自然のあり方ではありません。

悪く言うと社長は会社の安全性を信用していないわけです。安全性を過信しすぎる方がかえって危険なのですが、常にリスクを意識し続けるのはつらいことであり、会社存続のリスクを日常的に気にしないでよいのは従業員の特権です。最近はそうでもなくなってきているかもしれませんが、会社が潰れても従業員は責任は問われません。

国についても、日本人は国の安全性を信用しすぎているのかもしれません。信用しすぎると危険なのは会社と同様です。

会社を一つの有機体とすると、社長の役割は人間で喩えるならば、理性の部分でもあります。人間は自分自身を理性でコントロールしないと非合理性に流されてしまいますが、会社も同じようです。

理性的に自分自身をコントロールするのは、それ以外の本能的な部分が易きに流れてしまうため、多大な努力を要することが多いのですが、社長も同じのようです。本書では、著者の体験をもとにしてその大変さが語られています。

著者は社長としてやるべき事を淡々とされていたようですが、その淡々とした様子は一種の悟りの境地を思わせるような印象を受けました。老子で言うところの「道」です。

本書は社長として会社を管理することがテーマですが、会社に限らず自分自身を含めて管理するものは数多く存在するので、本書の主張の根本は身の回りの多くのことに応用できると思います。ただし、どのようなことにおいても行うは難しです。



investmentbooks at 22:59│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経営 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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