2009年02月05日

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『借金の底なし沼で知ったお金の味』5

金森 重樹著  2009年2月15日発行  1680円(税込)

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
著者:金森 重樹
販売元:大和書房
発売日:2009-02-05
おすすめ度:5.0
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営業やマーケティングについて、インパクトの強い本を数多く書かれている金森重樹氏の新刊です。過去の著者の本にもお金で苦労された体験の断片が書かれていますが、本書はその体験に焦点を絞って書かれています。

本書は心の深い部分に訴えかけてくるものがあり、内容が内容だけに、読んでいる途中で軽いめまいが起こるくらいのインパクトがありました。著者も後書きで以下のように吐露されています。



「最後のほうは、書いている間に、東京に出てきてからのいろいろな出来事が次から次へと思い出され、それで思わず涙がぽろぽろとこぼれて、パソコンのモニターが滲んできて。それでもかまわず必死でキーボードを叩き続けたんです。」

本書は著者が先物取引で借金を作ってしまい、その借金と格闘しながらなんとかケリをつけるまでの過程が、お金にまつわる内面の恐怖や葛藤とともに生々しく綴られています。

お金に関する本は、最近では約2ヶ月前に『この世でいちばん大事な「カネ」の話』を紹介しました。両方ともお金と格闘して、お金にまつわる苦労から脱出する話ですが、著者がビジネスをされているだけあり、本書の方が深い洞察を感じることができるかもしれません。

本書に書かれているようなお金についての本当の話は世の中にあまり出てこないようになっています。著者も書かれていますが、もちろん学校でも教えられません。なぜなら、教える側もお金について必ずしも理解しているわけではないからです。

お金について本当に理解しようと思えば、自分で独立してビジネスをするのがよいということが本書からよく分かります。どん底から試行錯誤して這い上がることにより、本当の理解ができるようです。

多くの人は苦労を避けているからこそ理解する機会が失われてしまいますが、苦労を避けるのは自然であることを考えると仕方ない面もあるのかもしれません。

権力などもそうですが、お金は人間の本性を拡大させる性質があります。よきにしろ悪きにしろ同じようにです。

本書を読むと、人間がお金と上手く付き合うのは本当に難しいことであるということがわかります。サブプライ問題にしても、ローンを組んだ借り手の金融に対する知識のなさが原因になっている面もあります。サブプライムローンを組んだ方は、お金とのうまいつき合い方が分からなかったわけです。

それに対して、サブプライムローンで数十億規模の高額のボーナスを手にした投資銀行の経営者は、金融に対する知識がありお金と上手く付き合っているようにも思えます。

しかしながら、人間が生きていく上で必要な金額をはるかに超えたお金を手にしても、お金に対する飽くなき欲求があることを考えると、お金と上手く付き合っているとは言えないかもしれません。

本書はお金に困っている方がその状態から抜け出すための心構えや考え方について書かれている本ですが、お金について考えることを通じて人生に対する洞察を深めたい方にも有用な本であると思います。



investmentbooks at 23:54│Comments(6)TrackBack(0)clip!本--マネー哲学 

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この記事へのコメント

1. Posted by ホリ   2009年02月06日 01:24
こんばんは。
絶対に買おうと思っていた本です!
発売したのですね。
アマゾンアタックさせていただきます。
まだbestbookさんの解説は読まないように
しますね(笑)
2. Posted by bestbook   2009年02月06日 01:48
ホリさん、こんばんは。
お買い上げいただき、ありがとうございます。

発売されるのを御存知だったのですね。自分は今日書店で初めて知りましたが、名前で即買いしました。著者の本はどれも面白いのですが、本書はある意味著者の最高傑作なのではないかと思います。
3. Posted by ホリ   2009年02月06日 14:54
こんにちは!
この本は金森さんのメルマガで連載されていたのですよ。
読後感また報告させていただきます。
4. Posted by bestbook   2009年02月07日 01:13
なるほど、メルマガですでに連載されていたんですね。

読後感楽しみにしています。余裕があれば教えて下さい。
5. Posted by ホリ   2009年02月07日 19:44
5 こんばんは。
『お金の味』読み終わりました。
メルマガではとびとびでしか読めていなくて
本日一気に読了したのですが、bestbookさんも
おっしゃられてますように金森さんの最高傑作であると思います。

あれほどのマーケッター、ビジネスプロデューサーになられる背景には、どうしようもない現状を打開しなくては、という動機があったのですね。

やはりどん底から立ち上がった方の言葉には重みがありました。

今までのエリートの印象が強かった金森さんの印象が変わりました。
6. Posted by bestbook   2009年02月07日 23:46
5 こんばんは。

早いですね。一気に読まれると読後感も違うようですね。やはり最高傑作ですよね。ビジネスに関心のない方でも読める本に仕上がっていると思います。

著者御自身が強く情動を揺さぶられる体験をされたため、読み手の情動も同じように揺さぶられてしまいます。金森さんの迫力は本書にあるような体験に由来するのでしょうね。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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