2009年02月08日
『こうして私は外資4社のトップになった』
秋元 征紘著 2009年2月12日発行 1575円(税込)
こうして私は外資4社のトップになった
著者:秋元 征紘
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-02
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タイトルにある「トップ」とは経営サイドの意味であり、必ずしも社長を意味しているわけではありません。外資4社とは、日本ペプシ・コーラ、日本ケンタッキーフライドチキン、ナイキジャパン、LVMHグループ ゲランです。すべて有名企業です。
本書には、著者が30年以上にわたってグローバルビジネスで経験されたことが、以下のように章ごとに分類されて書かれています。
- こうして私は外資4社のトップになった
- 外資で結果を残すために必須の9つのスキル
- 世界という舞台で勝ち抜くための7つの心構え
- 世界で通じる12のマネジメントノウハウ
以上から分かるように、本書の内容はほとんどが仕事についてです。第1章の最初「私が達成体質になった訳」とありますが、本書のテーマは「達成」となるのかもしれません。
本書では成功体験だけではなく、若い頃に起業して失敗された話なども載っていますが、あまり陰を感じない内容です。全体的に陽性が強いと思いますが、これは外資で望まれる性質なのかもしれません。
本書に書かれているノウハウや心構えはもちろん参考になるのですが、最も印象に残ったのは、各章の終わりにこぼれ話的に書かれているコラムにあった以下の文章です。
「本音を言わせていただくと、雇われ社長である外資の社長職は、実は10年もやると飽きるのです。」
その後にどうしてそのようになるかの分析がされています。「創業者の持つ独特の事業へのこだわりと強烈なパッション」がないためと推測されていますが、逆に考えると、そのような状態で10年仕事を高い水準で継続されていることが驚きです。
以上のように書かれているので、おそらく著者は自社の商品に対する強い思い入れはないと想像されます。それにもかかわらず、その会社のトップに立って業績を伸ばし続けることができるのは、仕事を戦略的なゲームとして楽しまれているからではないでしょうか。
強い思い入れがない状態でも、楽しんで働き続けることができる資質がおそらく最も重要なのでしょう。本書にはいろいろなノウハウや心構えが書かれていますが、それらはこの資質の上に生かされると思います。
物事を達成するためには手段の目的化が必要ですが、「果たしてこの商品を売ってどんな意味があるのか」と考え始めた時点で、営業マンとしての成績は落ちるかもしれません。
ビジネスに限らず、現在自分がなぜかやることになっていることの意味を必要以上に深く考えすぎると、物事はスムーズに進まなくなることが多いようです。本書から読み取れるのは、必要以上に物事を考えすぎないことの必要性です。
現象の意味を全く考えないのは人生から深みを奪ってしまいますが、現象の意味を考えすぎるのも人生の流れを停滞させてしまいます。タイミングよくスイッチを切り替えるのが必要なようです。
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この記事へのコメント
>現象の意味を全く考えないのは人生から深みを奪ってしまいますが、現象の意味を考えすぎるのも人生の流れを停滞させてしまいます。
この一文にビビッときました。
思考と行動の両輪がうまくかみ合っていないと
前に進めないですよね。
毎回のことですが、すごく勉強になります。
ありがとうございます。
ブログの文章をご評価いただきありがとうございます。ブログを続ける励みになります。