2009年02月09日

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『決算書から「お金持ち会社」の作り方がわかる』4

坂田 薫著  2009年2月28日発行  1575円(税込)

決算書から「お金持ち会社」の作り方がわかる決算書から「お金持ち会社」の作り方がわかる
著者:坂田 薫
販売元:アスカ・エフ・プロダクツ
発売日:2009-02-09
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著者は過去に融資関連の仕事をされたことがある方です。本書は、実在する企業や実際には存在しない企業の決算書をもとに、企業経営やビジネスモデルについて極めて平易に解説されています。

一時期初心者向けの決算書本が数多く出ている時期がありましたが、最近は以前ほど目にしなくなりました。決算書についての本が出るにしても、単なる解説の本だけではなく、本書のようになんらかのプラスアルファが加わっています。



本書のテーマは「お金持ち会社」の決算書についてですが、どのような決算書であれば中小企業にとってよいかということが主に書かれています。

やはり印象に残るのは、固定資産をなるべく持たない企業がよいということです。これは資産価格が右肩上がりで上昇し続けていた時代が終わったからでしょう。

1990年前後にバブルが崩壊するまでは、日本ではなるべく土地などの固定資産を持っているのが得策でした。借金をして不動産を購入してそれなりの活用をしていれば、自動的に資産価格が上昇することにより含み益というキャピタルゲインが転がり込んできました。

そのような時代だと、なるべく借金をして土地を買うのが合理的な経済行為です。バランスシートから見ると、多くの企業がハイレバレッジの不動産投資をしていたわけです。

これは個人にも当てはまり、住宅ローンを組んで家を建てれば、退職時には資産価値の高い自宅、豊富な退職金、手厚い年金などが手に入っていました。

ところが、ここ20年くらいでそのような恵まれた状況は変化してしまいました。やはり一番の理由は土地の価格が上がり続けないことですが、土地の価格が上がらないのは、日本の国としての力が上昇しないからです。

当たり前の結論ですが、皆が豊かになろうとするのであれば、日本が国として成長し続けるしかありません。成長しなければ、お互いに奪い合うゼロサムゲームになってしまいます。

本書でなるべく固定資産を持たないことが望ましいとされているのも、日本全体が成長する状況にないことが暗黙の前提になっているからでしょう。成長しない環境で借金をして固定資産を持ってしまうと、レバレッジをかけたFXと同じことになってしまいます。

もちろん個別の企業として成長に自身があれば、レバレッジをかけて事業を拡大するのはスピードを速めますが、少なくとも不動産のために借金をするのはリスクが高くなっていることは確かです。

本書ではビジネスモデルの重要性が強調されていますが、持たざる経営が必要とされる時代では、納得できる話の展開です。

日本で不動産バブルが崩壊して20年近く経とうとしていますが、現在においても持たざる経営が強調される本が出ているのは、まだまだ不動産などを持つことに意義を見いだす昔の時代の影響が残っているのかもしれません。

昔の思いこみを変化させるのは数十年の年月がかかるようです。なぜなら、その思いこみは数十年かかって作られてきたからです。



investmentbooks at 21:54│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--経営 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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