2009年02月12日

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『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』4

マイケル・コベル著  遠坂 淳一監訳  秦 由紀子訳

2009年2月16日発行  2310円(税込)

ザ・タートル 投資家たちの士官学校ザ・タートル 投資家たちの士官学校
著者:マイケル・コベル
販売元:日経BP社
発売日:2009-02-11
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タートルとは伝説的な投機家リチャード・デニスが、投機を教えることができるかどうかを確かめるため、1980年代に募集され教育された人々です。タートル達は予想通りというべきか予想に反してというべきか、その多くがハイパフォーマンスを上げたため、その存在自体が伝説的な存在になっています。

すでに以前にタートルの一人によって書かれた『タートル流投資の魔術』を採りあげたことがありますが、本書はタートル以外の人によって、外部の視点から書かれた本です。



本書には具体的なトレードの手法はほとんど書かれておらず、どちらかというとタートルを企画したリチャード・デニスやタートルについての人となりと人間関係、そして彼らの最近の様子などが書かれています。

タイトルには「投資家」とありますが、実際は投資家ではなく投機家です。ファンダメンタルズなどに関係なく、価格の動きだけに集中したテクニカルな手法で売買を行っています。

テクニカルな手法によって市場で正のリターンを得ることができるかどうかは、議論があるところですが、本書は実際の結果からそのようなことはあるというスタンスで書かれています。そして、そのような能力は訓練によって誰もが獲得できるということが一つの主張です。

この問題は昔から議論がされていますが、はっきりとした結論が出ていません。ひょっとすると、結論が出る問題かどうかというところから議論をしないといけないのかもしれません。神学論争と似たものがあります。

結局のところ、市場には勝てないと考える人と市場には勝てると考え市場に挑み敗北する多くの人々、市場に勝てると考え実際に勝っている少数の人々が生じますが、いくら少数の人が市場に勝ったとしても、その人々は分布の端に存在する少数者と見なされてしまいます。

どの立場を取るかは、理性的な判断によって決まるというよりも、むしろその人の人生観や職業上の立場などによるところも多いと思います。しかしながら、それぞれの考えを主張している方は、自分の立場が自分の考えを決めているのではなく、理性的に結論を出していると思っています。

このことは市場のみならず、世の中の多くの場面で見られます。みな理性で議論しているつもりになっていますが、その主張は実際には理性以外の部分が決めていることがほとんどです。

ある人がある理屈を述べて自分の意見を主張するときは、ほとんどの場合その人にとってなんらかのメリットがあります。このメリットは単に明らかな損得だけでなく、その人のエゴを満足させるようなものです。エゴを満足させることが最大のメリットです。

一般的なことはほとんどの人に当てはまるので、一般的なことを言っておけば、だいたいの場合は間違いがなく、たとえ当てはまらない少数者が存在しても「例外」と言っておけば誤りようありませんし、そのため責められることもありません。そのように主張する立場は無難です。

どうも世の中は無難なことを言い続ける多くの人と、一般的には受け入れられにくい極端なことを言う少数者という構造で出来ているようです。少数者は多くの人々の安定した固定的な考えを揺らがせるので、多くの人に不安を感じさせてしまい受け入れられないことが多いのですが、実際のところ世の中を大きな意味で進歩させるのは、受け入れられにくい少数者であることが多いようです。



investmentbooks at 23:58│Comments(2)TrackBack(0)clip!本--投資一般 

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この記事へのコメント

1. Posted by hiro   2009年02月13日 00:10
こんばんは!
「タートル流投資の魔術」好きな本なので興味深いです。

>世の中を大きな意味で進歩させるのは、受け入れられにくい少数者であることが多いようです。

そうなのかもしれないですね・・・
やっぱり普通にコツコツという概念も大切ですが
ちょっとヘンなパワーも大切なような気がします。
2. Posted by bestbook   2009年02月14日 00:33
ヒロさん、コメントありがとうございます。

「タートル流投資の魔術」もお読みでしたか。トレーディングの本は好みが分かれるので、一般的な本以外は紹介しにくいところです。

コツコツを淡々と長期間続けていれば、突然パワーがつくのかもしれませんね。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
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