2009年02月16日

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『国債を刷れ!「国の借金は税金で返せ」のウソ』4

廣宮 孝信著  2009年3月6日発行  1600円(税込)

国債を刷れ!「国の借金は税金で返せ」のウソ国債を刷れ!「国の借金は税金で返せ」のウソ
著者:廣宮 孝信
販売元:彩図社
発売日:2009-02-18
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著者は理系の技術者の方で経済学者ではありませんが、独学でマクロ経済を研究して、その分析結果を以下のブログで公開されています。

廣宮孝信の反「国家破産論」 ブログ

本書はタイトルからはっきりわかるように、国債を刷ることのススメです。



本書はなかなかの力作で、歴史的な考察や他国との比較分析が豊富です。国債をする是非に関係なく、国家財政を考える上で勉強になると思います。

本書の主旨としては、日本は国債を刷らないからこそ経済の低成長から抜け出せないということです。国債を刷ることは通貨を発行することにも置き換えられます。

以前にも別の本を紹介したときに出てきましたが、重要なのは借金の絶対額ではなく、公的債務/GDP比のようです。国債を刷れば、あるいは通貨を発行すれば、GDPを成長させながらこの比率を低下させることにより、公的債務を実質的に減らすこともできるという主張です。

極端なことを言ってしまえば、120兆円の通貨を発行してそれを国民一人に100万円ずつ配ると日本の景気が良くなるということです。通貨を発行すると、国は通貨発行益を得ますが、その益を国民に還元するということになります。

本書では積極財政により公共投資などを行うことが書かれており、以上のバラマキのようには書かれていませんでした。しかしながら、お金を発行して政府がそれを国民に還元するという点では、直接、間接の違いはありますが、本質的には同じです。

通貨発行益といいますが、これはどこからともなく「益」が出てくるわけではありません。国が発行するお金の価値を裏打ちするのは国の力ですが、その国の力は一定なので、お金を発行するということは、国が過去に発行したすべてのお金の価値が薄まることにより、その薄まったぶんの価値だけ新たに発行されたお金に価値が生じます。

全体のお金の価値が薄まるということは、インフレになるということです。国債を刷る話をすると、すぐにハイパーインフレの心配がされますが、著者によると、世界の国々と比較しても日本はデフレ傾向あるいは低インフレ傾向にあるので、ハイパーインフレの心配はすぐにはないとのことです。

結局お金を発行するとどういう事になるかというと、今現在お金を持っている人のお金の価値がさがり、その価値が下がった分だけ、配分された人に価値が移転するということになります。

日本でお金を持っているのは高齢者なので、バラマキ政策は本質としては高齢者のお金を合法的に皆に配分するということになります。

定額給付金の12000円くらいだと、あまり消費を拡大する効果は期待できませんし、そもそも定額給付金の原資は新たに発行された通貨ではなく、お金を国から国民へ移転させただけです。

もしも120兆円のお金を発行して、国民一人当たり100万円ずつバラマいたらどうなるでしょうか?インフレ傾向が大きくなり過ぎるのであれば、もう少し減らしたところにバラマキの最適値があるかもしれません。

お金が大きく動くと、現在と異なった富の配分になります。現在の日本のお金はほとんど高齢者が持っており、銀行に預けられたそのようなお金はリスクを極度に嫌います。

富の分布が変化するだけでは、必ずしも経済は発展しませんが、若い人のリスクを取れるマネーが増えて、新しい産業を生み出せるような政策と組み合わされると、日本にも高付加価値を産み出す新しい産業が出現するかもしれません。

日本は、モノ・ヒト・カネの流動性が低い国ですが、通貨を発行することは単なるバラマキではなく、カネの流動性を上げる作用があるかもしれません。どうせバラマくのなら、定額給付金程度のわずかな額ではなく、もっと大きくバラマくのも一つの手かもしれません。



investmentbooks at 22:53│Comments(2)TrackBack(1)clip!本--日本経済 

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1. 借金  [ 借金を解決するブログ ]   2009年02月17日 00:49
静岡市 一般会計2820億円読売新聞地方交付税は同0・4%増の104億円にとどまり、市の借金となる市債を同13・8%増の535億円発??.

この記事へのコメント

1. Posted by 廃業   2009年05月14日 18:18
1 あまりいい本とは思えない。
2. Posted by bestbook   2009年05月15日 00:46
廃業さん、コメントありがとうございます。

国債を刷ることの意味は、貨幣価値を下げることにより日本における富の分布を変化されることが本質的な意味だと思うのですが、裏技的であまりよい方法ではないかもしれません。

やはり国の経済の仕組みは、本道の政策で改善するべきものであると思います。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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