2009年02月18日

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『認められる力 会社で成功する理論と実践』5

太田 肇著  2009年2月28日発行  735円(税込)

認められる力 会社で成功する理論と実践 (朝日新書)認められる力 会社で成功する理論と実践 (朝日新書)
著者:太田 肇
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-02-13
おすすめ度:5.0
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著者は組織やモチベーションについての専門的な著作を数多く書かれている方ですが、本書は意識的に一般向けに書かれているようで、非常に読みやすい本になっています。

タイトルが「認められる力」ですが、本書は主として会社で、あるいは広く考えると社会で認められるための力がテーマになっています。本書の各章のタイトルは以下の通りです。



  1. なぜ認められたいのか
  2. 「経済人」? 実は「承認人」
  3. 日本人と欧米人、ここが違う
  4. 「認められたい」と言えない日本人
  5. なぜ〈表の承認〉が大切か
  6. 初級コース ”職場”認められるには・・・・・・
  7. 中級コース ”会社”で認められるには・・・・・・
  8. 上級コース ”世の中”で認められるには・・・・・・

章のタイトルからも、「認められる」というテーマで首尾一貫していることがよくわかります。

人間には他者から認められたいという承認欲求が存在するということが本書のテーマの前提ですが、これは人間は社会的動物として進化してきているためでしょう。また逆に、人間の承認欲求が強いことから人間が社会的動物として進化してきたことが推測できます。

「出る杭は打たれる」という言葉からもわかるように、日本では認められたいという欲求は抑圧される傾向にあります。承認欲求が人間の存在にとって重要な割には、正面から扱っている本が少ないのは、承認欲求を日本人が抑圧する傾向にあることも関係しているかもしれません。

諸外国と比べても、少なくともアンケート調査においては、日本人は出世指向が少ないようです。やはり「出る杭は打たれる」からでしょう。

出世についても、正面だって論じられることや、話されることは少ないのですが、本書ではそのことについても、堂々と論じられています。普段抑圧しがちな欲求を、本書を通じて意識化しておくのもよいかもしれません。

自分が認められたいということを意識化しておけば、それに基盤に人生を考えることができます。「出る杭は打たれる」のが気になるのならば、自分自身で意識して、それを他者に分からないようにしておけばよいでしょう。

人間の欲求は何でもそうですが、抑圧しても抑圧しきれず別の形で出てきます。認められたいということについては、別の形の否定的な一つの表現が、他の「出る杭を打つ」ことです。

承認欲求に限らず、ある欲求のエネルギーを発散する場合は、そのままの形で表現するのが最もよいでしょう。本書にも少し出てきますが、承認欲求はさらに突き詰めると、異性からモテたい欲求にさかのぼれることも多いと思います。

欲求をそのままの形で満たすのがよいとすると、社会での承認欲求だけを満たして異性から十分にモテないと、どこか満たされない思いが残ることもあるかもしれません。もちろん社会で承認されると、異性からもモテやすくなりますが、これら二つは完全にイコールではありません。

また、社会で認められることと、自分が好きでやりたいこととの間にズレが生じることもよくあります。社会で認められることを重視して追求しているうちに、本当に自分がやりたいことを見失ってしまうこともよくあります。

一番よいのは、好きなことをやっているうちに自然に認められることですが、認められることを過度に重視しすぎると、いつの間にか自分を見失ってしまうこともあります。

ただし、好きでないことでも認められることを目的に一生懸命やり続けていると、好きでない分野でもその面白さに目覚めることもあるので、このあたりは議論があるところでしょう。

認められたいという欲求は根深く、人生においても重要な要素ですが、あまりはっきりと正面から意識して考える機会はありません。本書はテーマとポイントを絞って分かりやすく書かれており、承認欲求について考えるために有用な本であると思います。



investmentbooks at 23:51│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--対人関係 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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