2009年02月22日

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『断る力』5

勝間 和代著  2009年2月20日発行  945円(税込)

断る力 (文春新書)断る力 (文春新書)
著者:勝間 和代
販売元:文藝春秋
発売日:2009-02-19
おすすめ度:3.5
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書影からは文春新書であることがわかりませんが、書店でも新書の新刊の中でひときわ目立ちます。オビからもおわかりのように、勝間和代さんの新刊です。

勝間さんの本は他の数多くのブログで紹介されてることや、書店でも非常に目立つことなどから、しばらく新刊を紹介していませんでしたが、本書を読んで書きたくなったことがあるので、本書は記事にさせてもらいたいと思います。



本書は「断る」ということをテーマする仕事や対人関係についての人生指南書です。アマゾンでの評価は分かれているようですが、本の内容の性質上、賛否両論が生じやすいのは仕方ないと思います。ある意味、著者の予想通りなのではないかと思います。

「断る」ということの前提には、断れるくらいの実力を身につけておく必要性がありますが、実力の有無の認識は個々人の心を刺激するので、本書の評価が大きく分かれるのは仕方ありません。本書は断ることの重要性を述べた本ですが、断れるくらいの実力をつける重要性が述べられている本でもあります。

「断る」という行為は極めて男性性の強い行為です。より正確に述べると、意識的に断るということは男性的な行為です。

実は断るという行為は男女関係においては、女性が得意とするところです。異性として受け入れる気のない男性については、女性は全力を挙げて拒絶します。ただし、この行為は無意識的な要素の強い行為です。意識的に考えて断るのではなく、無意識的に体や感情が拒絶します。無意識的に断るのは女性的です。

繰り返しになりますが、本書では無意識的ではなく意識的に断ることがテーマであり、意識的に断ることは男性性の強い行為です。

今までもそうですが、勝間さんの本から感じるのは、意識性の強さです。意識性の強さとは男性性です。男性性は他に主体性や戦略性、行動力などがありますが、勝間さんの本はそのような点からも男性性に満ちあふれています。本書の意識的に断るということも男性性の強い行為です。

勝間さんの本の背後にある構造は、もともと女性性の存在が男性性に目覚めて外的にも内的にも成功していくというサクセスストーリーです。勝間さんが女性であることがその象徴になっています。同じ内容のことを男性が書いていたとしても、ここまでブレイクすることはなかったでしょう。

では、なぜそのような構造を持ったサクセスストーリーが現在の日本においてブレイクするのでしょうか?

勝間さんの本の読者層は、以前よりも女性が働きやすい社会になったけれども男性と対等にあるいはそれ以上に活躍したいと思いつつもまだまだ自分の思い通りに成功していない女性、男性性が抑圧された現代日本の社会においてなんとか男性性を取り戻して成功したい男性がイメージできます。

両者に共通するのは、女性性に埋没した中で男性性を開発したいと意識的・無意識的に思っていることです。そのような中で、勝間さんは意識的・主体的・戦略的な性質を有する男性性を開発して成功した一つのロールモデルになっています。女性性の中で男性性を開発することが分かりやすくなるためにも、勝間さんは女性である必要があったわけです。

勝間さんのブレイクの背後には、現代の日本における男女ともに男性性が抑圧された状態があります。抑圧された男性性を解放するのは現代の日本の多くの男女双方にとって大きなテーマですが、実はこれは日本という国のテーマにもなっています。日本は男性性が抑圧された女性的な国になっており、その状態が国を長期間停滞させています。

勝間さんの本にはその抑圧された男性性を解放する力があるので、現在の日本の多くの人々に受け入れられているのでしょう。

本書にも別の形で少し述べられていますが、現在の日本には男性性の強いリーダーが不在です。小泉政権の政策は今から振り返ると、必ずしも合理的な経済政策だけではなかったようですが、小泉元総理大臣は良い意味でも悪い意味でも男性性の強い存在でした。

当時の日本はいろいろと言われていましたが、活気があったことは確かです。株式市場も賑わっていました。ただしその状態も一時的でした。日本に欠けている男性性を当時のリーダーが一時的に補っていましたが、結局のところ国民の男性性が欠如していると日本の活況も長続きしません。

国民一人一人が抑圧された男性性を開発することにより主体的になり、その結果が政治に反映されて日本という国の男性性が強くなったなら、その時初めて日本は長期的な停滞から本当に抜け出すことができると思います。

日本の株式が長期的な上昇トレンドに転換できるかどうかは、日本国、そして日本国民に男性性が備わるかどうかにかかっているのではないかと思います。日本に男性性が備わったと思われるような象徴的な出来事があれば、日本株は長期的に買いになるでしょう。

政治や経済における現在の停滞は、現在の男性性が欠如して女性性に満ちた状態に対して、日本国民が絶望して生まれ変わる前の暗闇にあると考えたいところです。男性性を開発する働きのある勝間さんの本が、これだけ多くの人々に読まれ続けている現象を目の当たりにすると、やや楽観的かもしれませんが、ますますそのように思えてきます。



investmentbooks at 22:43│Comments(4)TrackBack(0)clip!本--人生指南 

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この記事へのコメント

1. Posted by マリンゾウ   2009年02月25日 19:28
勝間さんの講演会に行ってきました。おっしゃる通り、勝間さんの男性的な部分、ロジック重視や無意識を意識するなど、そこいらあたりが女性読者を集めた要因かなとも思います。
ネットで叩かれるのも、宝塚の男役みたいな羨望と男性には理解できない部分があるのかもなんて思いました。
2. Posted by bestbook   2009年02月26日 00:14
マリンゾウさんこんばんは。コメントありがとうございます。

勝間さんの講演会についてのブログの記事読ませていただきました。勝間さんの本を読むと、勝間さん御自身が男性性を発達させたいという思いが伝わってきます。無意識を意識するなどはまさにそうだと思います。

ネットで叩かれても気にしなくなるというのも男性性です。ネットで叩くというのは女性性の強い行為ですが、女性に何を言われても気にせず自分の道を歩むことは男性性です。本書にはその過程、つまり男性性を発達させる過程についても書かれていました。
3. Posted by えふ   2009年02月26日 23:40
bestbookさん、こんばんは。
 本書を通じた勝間さんが日本社会にうける理由の分析、興味深く拝見しました。勝間さんが女性だからという点に関しては、そうかもしれませんね。
4. Posted by bestbook   2009年02月28日 01:30
えふさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

記事を御評価いただきありがとうございます。やはり勝間さんは日本社会が象徴的に必要として、出るべく出てこられた方であると思います。日本社会の女性性の強さおよび男性性の必要性と関係していると思います。

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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