2009年02月26日

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『百年に一度の危機から日本経済を救う会議』3

高橋 洋一/長谷川 幸洋著

2009年3月11日発行  1470円(税込)

百年に一度の危機から日本経済を救う会議百年に一度の危機から日本経済を救う会議
著者:高橋 洋一
販売元:PHP研究所
発売日:2009-02-26
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高橋洋一氏と『官僚との死闘七〇〇日』の著者である長谷川幸洋氏との対談です。一部は昨年末頃に雑誌に掲載されたもののようです。

高橋洋一氏の本はたくさん出ており、本書では理論的なことについては、内容として新しいことはあまりないかもしれません。本書は対談者が親しい間柄のようなので、ざっくばらんに話されているのが読みどころかもしれません。



本書は3つの部分に分かれています。

  1. 百年に一度の危機から日本は脱出できるのか
  2. 日本の国政をどう考えるか
  3. 日本の財政をどう救うか

現在の景気後退期に入った日本において、高橋氏の推奨する経済対策は、金融緩和、埋蔵金の放出、政府紙幣の発行だそうです。政府紙幣の発行以外は、今までの本で繰り返されていることです。

国政については、道州制による中央省庁の再々編だそうです。本書の多くの部分は、現行の日本の官僚支配に対する批判についてです。お二人とも歯に衣着せぬ口調で、そのことを中心に論が展開されているような印象を受けます。

理論的にはもっともなことが多いと思うのですが、実際に現行の官僚制度を改革するのはかなり困難な印象を受けます。官僚の方々からの立場からすると、理論的に打ち負かされることによりプライドを傷つけられ、さらに既得権益や身分の保障を奪われるような状況は全力を挙げて回避したくなるでしょう。

よって、いくら理論的に正しくても、理論の正しさだけでは改革は難しいと思います。プライドを奪うのであれば実体的な保障を、実体的な保証を奪うのであればプライドの温存が少なくとも必要です。両方を同時に力ずくで何とかしようとしても、どうにもならないと思います。

官僚制度を大きく改革するのであれば、国民の幅広い支持を受けた強力なリーダーとなる政治家が、熱意と忍耐を持って行うのが必要条件です。そして、さらには改革の対象となる官僚の方にプライドを傷つけない形で十分な保障をする必要があります。

国民感情からすると、官僚に保障をという考えは受け入れにくい面もあるかもしれませんが、改革することによって将来日本が発展するのであれば、その保障に数兆円単位のコストがかかっても安いものです。本当の意味でのリストラの費用になります。

この場合の政治家の役割は国民と官僚双方を納得させることですが、利害の調整という政治家の本来の役割を考えると、改革はやはり政治家しか行えないと思います。高橋氏は政治家ではありません。

官僚制度の改革に限らず、やはり日本の将来は有能で強力なリーダーが出てくるかどうかにかかっているように思います。そのようなリーダーは国民の意識が高まらないと出てこないので、やはり最終的には国民次第です。

高橋氏は政治家ではないので、直接国の改革はできないと思いますが、出版物やメディアを通じて国民の意識を高めることにより、間接的に改革に関わっていると考えることができます。

高橋氏の話に国民が共鳴できるかどうかは、どれくらい国民が論理的な思考ができるかどうかにかかっていると思いますが、日本人が不得意とするところかもしれません。だからこそ、現在のような状況になっているとも言えます。

そう考えると、官僚制度の改革は国民自身の改革になります。官僚制度だけを改革しようとしても、まずは国民自身が変わらない限りはうまくいかないと思います。



investmentbooks at 23:06│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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