2009年03月01日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『金融無極化時代を乗り切れ!』4

丹羽 宇一郎著  2009年3月1日発行  1200円(税込)

金融無極化時代を乗り切れ!金融無極化時代を乗り切れ!
著者:丹羽 宇一郎
販売元:文藝春秋
発売日:2009-02
クチコミを見る

著者は大手商社で食料畑を一貫して歩まれ、社長までされた方です。現在は政府で地方分権やNPOで食料関係の活動をされているようです。

本書は、現在の日本経済、世界経済の状況を踏まえて、日本と日本人が進むべき道を提言する内容になっています。主張が論理的であり、明快で歯切れがよいので、読んでいて爽快感があります。



本書の章のタイトルは以下の通りです。

  1. 我等「愚かなる動物」が起こした国際金融危機
  2. 日本は借金大国から脱却せねばならない
  3. 何度でも繰り返す。日本には「人と技術しかない」

第一章のタイトルで「愚かなる動物」と表現されているように、著者は人間の限界を十分承知されています。それだけに、意識的になって行動することの必要性を強く感じておられるようで、本書は日本人に意識的になるようにメッセージを送られているようです。

日本の借金についての話では、日本が国の資産も多いことについての言及はありませんが、資産が多いことが戦略性のない借金を正当化することはできません。

政府の仕事の経験から、現行の官僚制度について批判的ですが、その理由を「官僚組織は独占企業体である」からとされています。要は競争相手がいないのが問題のようです。解決方法として、中央集権から地方分権への流れを推奨されています。ただし、中央集権は100年以上の長期にわたり続いているので、急に変化する難しさも認識されているようです。

著者御自身も含めて、年配者が若者に道を譲ることも提案されています。面白かったのは、年配者が若者に道を譲る話を年配者にすると賛成なのですが、その賛成している年配者自身はそうはされないということです。やはり人間は自分自身のことは認識しにくいことがわかります。

商社で長年食料関係の仕事をされていたためか、食料や水の重要性について強調されていることが印象的です。日本の食糧自給率が問題であることを指摘されています。

食糧自給率については、いろいろ考え方があり、かならずしも上げる必要はなく、それより生産性の高い産業に労働力を振り分けるべきであるとの考え方もあります。いざというときに食料がクリティカルな問題になるという認識は、著者が長年食料関係の仕事に携われてきたからでしょう。

たしかに、人間は水と食料と住むところがあれば、最終的には何とか過ごせます。そのあたりも考慮した国の計画のためには、人間の幸せについて根本からの考察も必要かもしれません。

本書は全体的に明快であり、それだけに言いきっているところも多く、本書の提言は別の意見もあると思いますが、明快な提言からは議論が活発になりやすいと思います。本書は、日本人が不得意とする明快に提言することの重要性が伝わってくる本です。



investmentbooks at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ