2009年03月09日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『行動ファイナンスで読み解く 投資の科学』4

大庭 昭彦著  2009年3月19日発行  1680円(税込)

行動ファイナンスで読み解く 投資の科学 ―“お金は感情で動く”は本当か―行動ファイナンスで読み解く 投資の科学 ―“お金は感情で動く”は本当か―
著者:大庭 昭彦(おおば あきひこ)
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-03-06
クチコミを見る

著者は証券会社で金融工学を研究されている方です。『最新金融工学に学ぶ資産運用戦略』という金融工学の専門書も書かれているようですが、本書は一般向けに書かれています。

行動経済学の啓蒙書は最近よく目にするようになりましたが、投資と関連づけて書かれている日本人による行動経済学の本は新鮮な感じがします。本書は以下のように大きく3つの部分に分かれています。



  1. なぜ「非合理」な決定をしてしまうのか---「お金」と「意思決定」に関する最新の知見
  2. 行動ファイナンスを利用した金融サービス
  3. 神経経済学の挑戦---ここまでわかった!感情の湧き起こる場所

本書の半分は第吃瑤占めており、行動経済学の有名な研究結果を説明しながら、ところどころ投資や市場についての話も出てきます。投資だけでなく、「幸せを最大にする技術」なども一つのトピックになっています。

第局瑤篭睛讃ι覆筌機璽咼垢砲弔い匿┐譴蕕譴討り、一般向けの啓蒙書ではあまり目にすることがない内容です。若干専門的な香りがあり、著者の専門分野なのかもしれません。

第敬瑤録牲亰从儚悗砲弔い討任垢、分量的にも少なく、紹介程度の内容になっています。これは、神経経済学は行動経済学に比べると現在は黎明期であり、まだまだこれからの分野だからでしょう。

神経経済学を探求すると、どこかで人間の自由意志の問題に突きあたるかもしれません。多くの人は自由意志があると思って日々過ごしていると思いますが、実のところ、人間関係が巧みな人ほど人間の自由意志といったものを当てにしていないと思います。

自由意志というものがあるとするならば、他者からするとそれはコントロールできないものです。なぜならば、コントロールされる意志は自由意志ではないからです。

自由の感覚は意識と関係が深い感覚ですが、身体的なもののみならず、人間の精神的な過程の多くが無意識的なものであるとすると、意識の部分はほとんどないため、自由はほとんどないことになります。

人間は意識によって自由意志の感覚を抱きますが、意識は無意識の過程による結果のほんの一部であるとすると、自由意志などほとんどありません。

それなのに人間が過剰な自由さを感じてしまうのは、無意識は意識できないので、ほんの少しの割合である意識をすべてのように思ってしまうからです。これは自分自身についてもそうですし、他者についても言葉で言ったことを当てにし過ぎてしまいます。

このような考えは、投資についても当てはまります。投資における企業の価値評価が難しいのは、数値などで表されるもの以外の目に見えない部分における評価が難しいからです。経営者が言っているなども当てにし過ぎてしまいます。

行動経済学が面白いのは、意識できない領域を部分的にでも意識するきっかけを与えてくれるからです。ただし、意識できない領域は意識された瞬間に別のものになっています。

漠然とした価値を価格で表すと、その瞬間に価値が確定しますが、その確定した価値は次の瞬間には変化しています。

意識はものごとを固定しようとしますが、本来ものごとは固定できるものではありません。本来固定できないものを固定しようとするところにも、意識で無意識を把握しきれない理由があるようです。

ちょっと話がそれてしまいましたが、本書は日本人の手による投資と行動ファイナンスについて読みやすく解説された良書です。今後も日本人の手によって、本書のような本が出版されるとよいと思います。



investmentbooks at 23:59│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--投資一般 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ