2009年03月10日

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『人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」』4

桜井 章一著  2009年1月20日発行  880円(税込)

人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」 (講談社プラスアルファ新書)人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」 (講談社プラスアルファ新書)
著者:桜井 章一
販売元:講談社
発売日:2009-01-21
おすすめ度:4.0
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本書は出て少し経ちますが、売れているようです。著者は「伝説の雀鬼」で、このブログでも過去に本を紹介したことがあります。麻雀業界では昔から有名な方ですが、ここ数年はその人生論などが一般にも知られるようになってきました。

本書はで著者の人生観の部分から、「人を見抜く技術」に的を絞って書かれています。本書の各章のタイトルは以下の通りです。



  1. 「癖」は心を丸裸にする
  2. 体の動きを見ればすべてわかる
  3. 人間の本質を見抜く方法
  4. 人生を見透す技術

著者の特徴として、身体感覚、感性、直感などを重視されている点があります。これはもともとの資質が、長年の真剣勝負の場で研ぎ澄まされたもののようです。

感覚的な表現が多く、平易な言葉で書かれてはいるのですが、論理的な思考を過度に重視する方にはややわかりにくいところはあるかもしれません。

著者も書かれているように、本書で解説されている感覚は本来人間が持っているもので、文明の進歩とともに退化してきているものであるようです。退化しても、人間は現在の状態が普通の状態であると常に考えてしまう傾向があるので、失ってしまったものは分かりにくくなっているようです。

社会が複雑化してるため、人間の進歩は理性の進歩であり、原始的な感覚の退化が一定の流れになっているようです。しかしながら、生物としてのヒトの歴史を考えると、原始的な感覚を重視してきた期間の方がはるかに長いはずです。

理性は言葉で伝わりますが、原始的な感覚自体は言葉では伝わりません。昔は自然の中で開発されたり、人から人へ直接伝えられたりしたはずですが、社会が高度化した先進国ではこのような感覚は失われつつあります。

著者の本が売れているのは、原始的な感覚を取り戻したいという思いがどこか多くの人にあるからだと思われます。

著者はブレイクしつつあると思いますが、著者に限らずブレイクする方には以下のような共通点があるように思います。

  • 自分の思いや感覚を追求する
  • 世間に流されない
  • 数十年単位で自分の道を歩む

これらは長期的に考えると、最も望ましい生き方であると思うのですが、一般的にはなかなかそのようにできません。なぜなら、このような生き方は孤独に耐える必要があるからです。

多くの人は孤独に耐えることができません。結局は世間や周囲の評価を気にしながら、本来自分がやりたくないことを続けて年齢を重ねる「大人」の生き方を選んでしまいます。

よって多くの大人によって構成される世間は、活き活きとしていない状態になりやすいのですが、世間がいったんそのような状態になってしまうと、世間はなるべく多くの人をその世界に取りこもうという目に見えにくい働きが生じてしまいます。この働きに逆らうのは容易なことでありません。

人間一人一人は自分をなるべく今の状態にとどめておこうという無意識の働きがありますが、それに加えて世間という周囲の環境も人を世間一般の状態にとどめておこうとする働きがあります。

この罠から抜け出す方法は意識的になることしかありませんが、そのよりどころとなるのは身体感覚のようです。心だけで意識的になるのは難しいように思います。本書でも、著者が身体のことについて繰り返し言及されているのは不思議ではありません。



investmentbooks at 23:33│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--人生指南 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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