2009年03月18日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』4

村沢 義久著  2009年3月20日発行  840円(税込)

日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命 (文春新書 691)
著者:村沢 義久
販売元:文藝春秋
発売日:2009-03
クチコミを見る

まだアマゾンでの書影はないようです。著者は理科系出身の方ですが、MBAを取得されてコンサルティング会社や金融機関で仕事をされた方です。本書の内容もその経歴が生かされており、技術的側面、経済的側面の双方の記述が充実しています。

将来的に株式市場のテーマの一つがエネルギー関連になるかもしれないとはよく言われますが、本書を読むと今後の世界経済、日本経済にとってのエネルギー問題の重要性について得心できると思います。



本書は大きく四つのパートに分かれています。

  1. 20世紀型文明の行き詰まり
  2. 21世紀型エネルギー・システムの模索
  3. 答えは「電気」と「ソーラー」
  4. 太陽エネルギー革命

本書で主に述べられているのは、太陽光発電と電気自動車についてです。とくに電気自動車の技術的な側面について、比較的詳しく解説されています。

本書によると、現在世界は大きな転換期にあるということです。

人間は数十万年前から「燃やす文明」を中心に進歩していきましたが、これからは「燃やさない文明」に向かうかもしれないということです。

「燃やす文明」は、200年くらい前に始まった産業革命の後、石炭や石油をさらに消費するようになりさらに加速しました。今後はそのような点からは新たな産業革命が起こる可能性があります。

グローバリゼーションはインターネットの出現によって加速されました。インターネットや金融工学は一つの大きな技術革新でしたが、どちらかというと実体的なものではありませんでした。

今回の金融危機は、実体経済の革命が起こる前に、比較的実体性に乏しいインターネットや金融工学という技術が発展が先んじたため、影響が大きくなっていることはあるかもしれません。

著者の分析によると、日本は新たな産業革命を先導する技術を持っているとのことです。日本は資源も少ないこともあり、世界のためだけでなく自分のためにも、太陽光発電や電気自動車の性能を高めてより広める意義がありそうです。

最近はすっかり評判が悪くなってしまった公共投資ですが、本書に書かれているような技術が発展するためになら、国が重点的に投資する意義は大きいかもしれません。公共投資でも、生産性を上昇するようなものに投資するのはよいはずです。途上国における水道や道路などのインフラ整備と同様です。

今回の金融危機がいつ収束するかは分かりませんが、収束後は食物やエネルギーが世界経済の成長のボトルネックになる可能性が高いと思います。ヒトやカネは十分に存在するので、ボトルネックになる部分に投資をするのは、世界のことを考えても、投資者としての日本のことを考えても大きな意味があるでしょう。

ただし、そのような革命は時間をかけて行う必要があるかもしれません。急に石油や石炭の価値が下がってしまうと、資源国は在庫の大きな評価損になってしまいます。

新たな産業革命が起こるとしても、その経過はおそらく数十年はかかると思いますが、考えようによっては、そのような革命を推進することになる企業は、長期的な発展が望めるはずです。

あくまで予想ですが、数年後に

金融危機の収束→世界経済の成長による食物やエネルギーの不足(資源インフレ)→代替エネルギーの開発

という流れになるのかもしれません。

このような予想をしている人は少なからずいるので、すでに資源インフレを見越して代替エネルギーへの投資は盛んになっています。そのため資源インフレはあまり長くは続かない可能性もあります。

今回の金融危機の原因は、世界のマネーが有効な投資対象を見いだせなかったこともあるようですが、今後の世界を考えると、代替エネルギー開発への投資は有効な実体経済への投資ということになるのかもしれません。

本書は今後の世界経済と、将来的な日本の立ち位置を考える上で有意義な本です。定量的な話が多いのも参考になると思います。



investmentbooks at 23:56│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ