2009年03月21日

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『史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力』5

メアリー・バフェット/デビッド・クラーク著  峯村 利哉訳

2009年3月31日発行  1575円(税込)

史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール
著者:メアリー・バフェット/デビッド・クラーク
販売元:徳間書店
発売日:2009-03-19
おすすめ度:5.0
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最近は株式投資の新刊が目立つようになりました。マーケットの復活を予想してしばらく前に企画された本が、最近出版されているのかもしれませんが、まだまだ市場は沈滞しています。

本書は以前紹介した『バフェットの教訓』の続きのようです。前作は箴言集でしたが、本書はタイトルにあるように財務諸表についてであり、前作と比べると定量的な分析が主眼になっています。合わせて読むとバランスがよいと思います。



著者の一人であるメアリー・バフェットは以前ウォーレン・バフェットの義娘だった方です。本書と前作以外にもバフェットについての本が、2冊ほど日本語に翻訳されています。

義娘ということでバフェットの近くにいた人ですが、著者の書いているバフェットの投資手法は、必ずしもバフェット本人が用いるものと全く同じであるかどうかということについては議論があると思いますが、完全には同じでないとしても十分に参考になります。

本書は株式投資における優良企業を選択する観点から財務諸表を読むという点においてはかなり基本的な内容ですが、メリハリの効いたポイントが押さえられていると思います。本書の各章のタイトルは以下の通りです。

  1. バフェット流利殖術の要諦
  2. バフェット流損益計算書の読み方
  3. バフェット流貸借対照表の読み方
  4. バフェット流キャッシュフロー計算書の読み方
  5. 永続的競争優位性を持つ企業の評価法

タイトルに「58のルール」とあるように、かなり細分化されています。一つ一つの項目が短く表も多いので、ストレスなく読むことができると思います。

本書における企業選択のポイントをさらに簡潔にまとめると、利益率が高く、借金が少なく、成長し続ける、永続的競争優位性がある企業が望ましいということになります。

「58のルール」は基本的なものからなるほどとうなずかされるものまで、バラエティに富んでいますが、ほとんどは財務諸表のポイントについてです。「永続的競争優位性を持つ企業は、高い粗利益率を示す傾向がある」のように、当たり前と思われることも多いのですが、目にとまったものをいくつか書いておきます。

  • 多額の研究開発費を要する会社は、競争優位性に先天的欠陥を内包している

研究開発の必要がないほどの優位性のあるビジネスを行っている企業よいということです。これはブランド力が物を言いそうです。

  • 大不況という困難な時代がやってきたとき、現金は最大の武器になる

これは現在実感している方が多いことでしょう。自分が安全であるという守りの意味がありますが、安くなった資産を買うことができるという攻めの意味もあります。

  • 流動比率で企業の優劣を見分けることはできない

これは実際上はそうだと思いますが、一般向けの財務諸表分析本には、望ましい流動比率がよく書かれているので、意外に思う方もいるかもしれません。

  • あまりに高い総資産利益率は、競争優位性の脆弱さを表している場合がある

これはややわかりにくいですが、資産がなくても利益が高いということは、参入障壁が低いことがあるためです。もちろん、低い総資産利益率もよくないのですが。

  • 長期借入金よりも短期借入金が多い銀行は、投資対象から除外せよ

これは今回の金融危機ではっきりわかるところです。今回の金融危機で倒産が目立つのは短期借入金の多い不動産会社です。貸し剥がしにあって倒産している企業が多いようです。

  • 優良なビジネスは、”流動性クッション”を必要としない

現金が少なくても、キャッシュフローが潤沢であれば必ずしも現金を必要としないということです。キャッシュも重要ですが、株式の価値には未来が大事であるとするとキャッシュの流れが重要です。

本書は財務諸表の構造にしたがって、簡単なところから順番に積み上げられて書かれているので、読みやすい本であると思います。定量的な側面からバフェットと銘柄選択のポイントを理解したい方によいでしょう。



investmentbooks at 23:41│Comments(4)TrackBack(0)clip!本--株式投資 

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この記事へのコメント

1. Posted by KT   2009年03月23日 08:22
bestbookさん、こんにちは。

いつも、書評、楽しみに読ませてもらってます。
ところで質問なのですが、投資をする上で読んだ方がいいという必読の本とか教えてもらえませんか?
bestbookさんが最良と思う本でいいです。
例えば、自分の思う本は、「サブプライム後の新資産運用」と「サブプライム後の新世界経済」かなと。
あと初心者向けでは、「大化け株とレバレッジで勝つケリー流株式投資術」がbestbookさんがお薦めしてましたよね?
10冊以上でもかまわないので、これは必読という本を網羅して挙げて欲しいです。
読む順番どおりに書いてもらえると助かります。
では、宜しくお願いします。
2. Posted by bestbook   2009年03月23日 23:47
KTさん、コメントありがとうございます。

前々から「おすすめの10冊」といったようなまとめをしたいと思っていたのですが、延び延びになっています。御提案ありがとうございます。
お書きの『サブプライム後の新資産運用』と『サブプライム後の新世界経済』もよいと思いますが、もっと総論的な本になるかもしれません。
『大化け株とレバレッジで勝つケリー流株式投資術』も良い本ですが、おすすめの10冊はもっと一般的な本になると思います。
ちょっと時間かかるかもしれませんが、整理してみたいと思います。
3. Posted by KT   2009年03月24日 20:57
お薦めの10冊と言わず、読んだ方が良い本は網羅してくれれば嬉しいです。
20冊でもOKかと。
これだけ投資の本が売っているとなると、お薦め本も多くなるでしょうね。
期待してます!
4. Posted by bestbook   2009年03月24日 22:10
そうですね。たくさんあるので、何らかの形で分類して何回かに分けて紹介しようと思っています。
投資の本は、このブログを始める前に読んだ本がたくさんあるので、ブログの記事にしていない本が多くなりそうです。

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bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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