2009年03月26日

この記事をクリップ! Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク

『ドンと来い!大恐慌』4

藤井 厳喜著  2009年4月10日発行  1785円(税込)

ドンと来い!大恐慌ドンと来い!大恐慌
著者:藤井厳喜
販売元:ジョルダン
発売日:2009-03-12
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

ある程度の規模の書店に行くと、恐慌本の平積みが目立ちますが、本書は危機を煽るだけの恐慌本とは一線を画しています。表紙からして変わっています。

著者は多面的な視点から、国際政治や経済についての本を数多く書かれている方で、本書でもその特長が遺憾なく発揮されています。本書の各章のタイトルは以下の通りです。



  1. またも起きたか、アメリカ発大恐慌
  2. 証券化に見る”高度金融技術”のまやかし
  3. 資本主義と恐慌発生のしくみ
  4. アメリカ一極支配から多極化への流れ
  5. 日本が世界を救う---日本の資源・エネルギー戦略
  6. 自由放任の第二の終焉と日本の食料戦略
  7. 生活防衛のための知恵あれこれ

全体的に語り口調で書かれており、読みやすくなっています。ところどころに五七五の俳句調のリズムで要点がまとめられており、著者の和装と同様に、和の雰囲気を盛り上げています。

和の雰囲気が出ているのは、日本を元気づけるという意味もありますが、それよりも日本のよさを見直すという目的もあるようです。日本の現状についても、一般的に言われているほど悲観的になるような状態ではないとも書かれています。

ただし、それでも戦略的になる必要はありますが、本書では著者オリジナルの自由な発想に基づく数々の提案があります。特定の分野の専門家の方が書かれた本とはひと味違う味わいがあります。

日本の戦略としては、今後の世界経済を見据えて、資源や食料についての話が多く出てきます。日本にはお金があるので、金融についても重視されています。

面白い意見としては、日本にユダヤ人を呼び込むというアイデアがあります。日本人とユダヤ人は相互補完的なwin-winの関係を築けるとのことです。

本書では今回の金融危機の仕組みや原因、個人としての生活防衛の仕方などについても書かれており、盛りだくさんですが、やはり興味深く読めたのは、今後の日本のあり方でした。国際政治や地政学的な点からも分析されているのが面白いところです。

今回の金融危機についての本は、当然のことながら経済学的な点からの本が目立つのですが、経済学的な分析は本来多様な現象をある特定の切り口から眺めているに過ぎません。それはそれで重要ですが、世界の今後を予想するためには、本書にあるように多面的な視点が必要であると思います。

本書では最後に今回の金融危機に関連した20冊程度の「恐慌本」の紹介があります。ほとんどが書店でよく見かける本であり、実際に著者が目を通されて感想を書かれているのが参考になります。

本書は悲観にも楽観にも極端に偏っておらずバランスが取れた本であり、一言で表現すると「現実的な本」です。

日本についてはやや楽観的に書かれているかもしれませんが、これくらいに考える方が現実的にはちょうどよいのかもしれません。国際的そして戦略的視点から、今後の日本について考えたい方におすすめできると思います。



investmentbooks at 23:41│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--世界経済 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
プロフィール
bestbook
家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
ブックマークに登録
このブログをソーシャルブックマークに登録
このブログのはてなブックマーク数
アマゾン検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ