2009年04月24日
『オバマのグリーン・ニューディール』
山家 公雄著 2009年4月24日発行 1680円(税込)
オバマのグリーン・ニューディール
著者:山家 公雄
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2009-04-25
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表紙、オビの文字、裏表紙がグリーンなのが書店で目を引きます。さらには栞のヒモまでグリーンであり、こだわりが感じられます。著者は日本政策投資銀行の調査部でエネルギーや環境関連のことをされている方です。
本書はオバマ政権の環境・エネルギー政策について述べられています。比較的最新のことまで参考にされており、著者が今年3月にアメリカに行ったときの情報まで本書に反映されています。
本書は情報の新しさを重視されているためか、短時間で書かれたようであり、内容が練られていることよりも、情報の新しさを選択されているようです。同じ話が繰り返し書かれている部分も多いので、やや冗長ながらもポイントが頭に残りやすかったと思います。
本書のほとんどの部分は、オバマ政権におけるグリーン・ニューディールについての話です。グリーン・ニューディールは、まさにアメリカが国を挙げての事業であるということがわかりますが、その徹底ぶりと気合いの入れようは、社会主義の計画経済を彷彿とさせます。
国は大きな方向性を指し示すことに力を入れているだけであり、細かいことは市場の力を利用しているようなので、もちろん社会主義の計画経済とは異なります。
わが国と比較して、アメリカはエネルギーの利用について整備が不十分であることが本書からわかります。本書では、日本がエネルギー先進国であることについても、一章を割いて解説されています。
アメリカのエネルギー事情が不十分であればあるほど、効率を高めることによる利益は大きいので、グリーン・ニューディールは大きな意味があるようです。
グリーン・ニューディールのポイントとしては、電線やスマートグリッドなどのインフラの整備、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの開発、エコカーの普及などが挙げられます。
これらの分野は日本が先を行っており、日本にもチャンスがあると思いますが、アメリカも全力を挙げての追い上げなので、あまり慢心しない方がよいようです。
グリーン・ニューディールに関連することは、今後投資のテーマとして重要になりそうなので、最近いくつか読んだのですが、技術的な内容のものが多く、必ずしも面白くは読めません。
また、現在進行形の話が多いので、状況が常に変化し続けており、新たな技術が常に登場し得る状況です。本書にも書かれていますが、本書に書かれている情報は、将来状況が変わるとそのままは当てはまらなくなる可能性もあります。
大きなエネルギーが潜在していながらも、事態が流動的で将来が読みにくいのは、インターネットの黎明期を考えるとわかりやすいかもしれません。
グリーン・ニューディール関連の銘柄については、バブルになるかもしれないという予想や期待もありますが、まだまだ形がはっきりと見えません。本書は一般的に書かれている本ですが、投資のためには、必ずしもわかりやすいわけではない技術的な本で勉強するのがよいのかもしれません。
わかりにくければわかりにくいほど、面白くなければ面白くないほど、他者と差別化しやすくなるというメリットがあると考えることもできると思います。
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この記事へのコメント
情報ありがとうございます。雑誌の方がポイントと最新の情報が簡潔にまとめられていてわかりやすい面があるようですね。よいものがあれば紹介したいと思います。
太陽光発電などについては、お書きの通り国家のサポートが必要であると思います。他国がそうしているので、日本もそうしないと同じ土俵で競争できません。