2009年04月30日

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『資本主義崩壊の首謀者たち』4

広瀬 隆著  2009年4月22日発行  756円(税込)

資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A)資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A)
著者:広瀬 隆
販売元:集英社
発売日:2009-04-17
おすすめ度:4.0
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著者は同じようなテーマで過去に何冊かの本を書かれています。それらの本では、世界を支配しているアメリカが、特定の家系や民族によって支配されているということが精緻な家系図とともに詳細に説明されています。

本書は新書なので、それらの本と比べて読みやすく書かれています。アメリカの時事的な一コママンガが多用されており、堅くなりがちな内容に柔らかさをもたらしています。今までの著者の著作と比べると、いろいろな点でリラックスして読めるように工夫されています。



本書の目次は以下の通りです。

  1. 自作自演の仮面舞踏会に酔った金融大国
  2. 誰がこのような世界を創り出したか
  3. 日本が取るべき新しい進路

特定の家系と民族がアメリカの金融資本や政治を牛耳っており、アメリカに支配されている日本もそれらの影響を受けているという内容です。

著者の説明を読むと、たしかにアメリカの支配層は密接なつながりのある人脈をたどれるのですが、それらの集団が支配しているかどうかということについては、白黒はっきりさせにくい問題です。

本書のような「〜によって支配されている」という内容の本を読むと、支配されているというより正確には「支配的」ということなのではないかといつも思います。

本書の述べられているのは、著者の目を通してみた一つの世界であり、本書は著者の世界観を読む本です。本書に書かれていることを、正しいかどうかという視点で読むと、あまり読後感がよくないかもしれません。

大きなパワーを持っている人脈は存在するでしょうし、その人脈はそのパワーを保とうとして考え行動しているということはあるでしょう。しかしながら、これはすべての個人や集団に当てはまることです。誰も自分のパワーを減らしたいとはふつうは思いません。

しかしながら、大きなパワーを持っている人々が「支配」できるかどうかについては、疑問があります。大きなパワーを持っている人達はその人達なりに、必ずしも余裕があるわけではありません。なぜなら、余裕があるかどうかは持っているパワーの大きさではなく、そのパワーが増えているか減っているかによるからです。

大きなパワーを持っている存在を目の前にすると、どうしても陰謀論的な認識になってしまいます。これは人間が本能的に持っているものです。アメリカと日本を逆にすると、日本に勢いがあった時代は、アメリカが日本を陰謀論的に解釈することもあったことでしょう。

また、日本はアメリカに支配されているという見方はありますが、日本もうまく支配されることによってそれなりに利益を得ているということもあるでしょう。見方によって認識はさまざまに変化します。

本書はそのあたりに留意して読むとよいと思います。著者が主張されることには、すべて「的」をつけるとバランスが取れるかもしれません。もちろん、この考え方自体も人によって認識が異なるとは思いますが。



investmentbooks at 23:57│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--世界経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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