2009年05月09日

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『「貸せない」金融―個人を追い込む金融行政』4

小林 幹男著  2009年5月24日発行  798円(税込)

「貸せない」金融―個人を追い込む金融行政 (角川SSC新書 70)
著者:小林 幹男
販売元:角川・エス・エス・コミュニケーションズ
発売日:2009-05
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まだ書影がありませんが、水色の表紙の角川SSC新書の新刊です。著者は外資系金融機関で長年仕事をされていた方で、リーマン・ブラザーズにもいらっしゃったことあるようです。本書にも、少しですがそのことに関するエピソードが出てきます。

本書では、数年前に改正され、段階的に施行されつつある貸金業法により、日本の金融と企業がどのように変化するか、そして日本経済にどのような影響を与えるかについて、著者の提案とともに述べられています。



世界的な金融危機による景気後退のため、日本の建築基準法や貸金業法の改正による不動産不況や消費者金融の信用収縮による影響は以前ほど意識されなくなってきていますが、著者によると、これらの影響は依然としてあり、これからも影響を与え続けるとのことです。

改正貸金業法は、消費者金融や事業者金融におけるグレーゾーン金利を規制しました。現在でもノンバンクの倒産や業績悪化が続いており、業績回復のメドが立たないのは、たんに不況の影響だけではないようです。

金利が規制され、ノンバンクの貸し付けが抑制されると、ノンバンクの業績が悪化するのみならず、いままで利用していた消費者や中小企業の資金調達が悪化し、日本経済に少なからぬ影響があります。

日本ではエクイティの部分におけるリスクマネーのスペクトルが不十分ですが、金利の規制によるデットの部分もスペクトルが不十分になってしまいました。

金融で必要とされることの一つに、個々のリスクに応じて適切に資金が供給されることがありますが、金利を規制すると、その部分の役割を金融が十分に果たせなくなります。

金利はお金の値段ですが、金利を規制するとお金に適切な価格がつかなくなります。お金に限らず商品に適切な価格がつけられなくなるということは、その部分の市場がなくなるということであり流れが滞ります。

市場が闇に潜り、ヤミ金融になってしまいますが、ヤミ金融になると利息が高くなってしまうことも多く、金利という価格が高くなり、経済的に非効率になります。お金は経済の血液といわれますが、それよりもむしろ水というべきかもしれません。水はすみずみまでまんべんなく浸透する必要があります。

本書ではいくつかの提案がなされていますが、金利の規制を撤廃することも提案されています。

多重債務者の問題を解決するのであれば、金利の規制ではなく、その他の規制の方法を考えるべきであり、どのような規制にするかが行政側の腕と知恵の見せ所であると思います。



investmentbooks at 23:57│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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