2009年05月11日
『「ゾーン投資」で相場に乗ろう!』
岡崎 良介著 2009年5月10日発行 1575円(税込)
「ゾーン投資」で相場に乗ろう!
著者:岡崎 良介
販売元:日本実業出版社
発売日:2009-05-09
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ゾーン投資とは聞き慣れない言葉ですが、おそらく著者の造語であると思われます。本書で説明されているゾーン投資の概念を簡単に述べると、相場のテーマが漠然とした初期の段階で、リスクを覚悟して、自分なりにストーリーを思い浮かべ、おおまかな形で行う投資ということになります。
相場のテーマは初期の段階でははっきりしないので、新たなトレンド形成の場面において、高いリターンが得られる最初の段階から参入しようとすると、必然的に「ゾーン投資」になります。テーマがはっきりした時には、将来を織り込む市場はすでにかなり上昇してしまっているからです。
本書が特徴的なのは、逍遥的な著者の思案が書かれていることです。はっきりした形で書かれている相場の見通しの本は、わかりやすいのですが、相場の世界でははっきりしているものはあまり有用でないことが多いようです。
本書の各章のタイトルは以下の通りです。
- 世界同時不況の本当の理由は?
- ゾーン投資って何だ?
- 投資ゾーンが描ければ相場(シナリオ)がわかる
- 中国・BRIがゾーンをはずれたと考える理由
- 次の時代の兆しを読み取る
- ゾーン投資を始めよう!
- そして相場はよみがえる
本書は本ブログでも以前紹介した著者の前作の『相場ローテーションを読んでお金を増やそう』とは、はっきりとしない未来を予測しようとしている点では同じ主旨ですが、前作は豊富なデータに基づく予測に比べ本書は直感的な思索に基づくという点においては、前作と対照的な内容です。
著者は、今回の金融危機に端を発する世界同時不況を、時代と相場の大きな転換点と捉えておられるようです。資本主義の限界に到達したことについての相場における表現が、今回の金融危機のようです。
本書からは新しいトレンドの主役がどのようなものになるかについて、著者の具体的な考えを部分的に読み取ることができます。いくつかありますが、やはり代替エネルギー関連ははずせないようです。
本書のような本はありそうでないのですが、大きなリターンを得ることができる投資家は、投資対象を決定する際に、本書にあるような漠然とした「ゾーン投資」を何らかの形で行っているはずです。
もちろん本書の予想が実現しない可能性も少なからずあると思いますが、重要なのは本書のようにいろいろと思索を巡らせて相場に向かうことです。トレンドが誰の目にもはっきりするようになってから参加しても、ピーク間際の高値掴みになる可能性が多いと思います。
本書は今後の相場についての著者の予想を知るという意味はもちろんありますが、それよりも相場と向き合う姿勢や考え方を読む本であると思います。
株式投資の醍醐味は、著者のように大きなトレンドを自分で予想して、少数の人しか参加していない相場の初期の段階から投資を開始し、そのトレンドが実現化することにより大きなリターンを得ることにあると思います。