2009年05月13日

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『会計天国』4

竹内 謙礼/青木 寿幸著  2009年5月7日発行  1365円(税込)

会計天国会計天国
著者:竹内 謙礼 青木 寿幸
販売元:PHP研究所
発売日:2009-04-21
おすすめ度:4.5
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大型書店で在庫切れの表示になっており、売れている雰囲気があったので、小説仕立ての会計本ということで、興味を抱いて読んでみました。

本書は会計における五つのトピックスについて、それぞれ一つの物語になっていますが、それぞれ五つは全体として一つの大きな物語になっています。会計と天国という言葉の結びつきには違和感がありますが、本書に目を通すと納得いくと思います。



会計の知識は、少なくとも最初の時点では、取っつきにくいものが多く、明確なモチベーションがないと、挫折しやすい面があります。さまざまに工夫を凝らした本が過去にも出ており、わかりやすいように工夫されていますが、本質的な取っつきにくさをうまく解消するのは難しいようです。

本書も物語形式で工夫されています。本質的なエッセンスだけを書くのであれば、おそらく分量は本書の五分の一程度ですむはずですが、残りの五分の四を織りまぜることによって、無味乾燥になりがちな内容に潤いをもたらしています。

小説の面白さ自体は評価が分かれるところかもしれませんが、時事的な話題も少し述べられていて工夫されていると思います。ただし、年数が経つと時事的な部分は理解しにくくなるので、本書は後々まで残すということは意図されていないのかもしれません。

本書における会計のテーマは、財務諸表、固変分解、粉飾決算、原価計算、戦略会計です。それぞれが重要なテーマですが、一つ一つ独特の理解しにくいポイントがあり、ポイントが絞られて解説されています。

小説ということもあり日本語はわかりやすいのですが、やはりもともと概念的に必ずしもやさしくはないことが多く、本当の会計の初心者が読むと最初の印象ほど理解は容易ではないかもしれません。本書は全くの初心者よりも、ある程度の理解がある方により向いている本であると思います。

会計の入門書は定期的にベストセラーが生まれますが、英語の勉強と似ているところがあるのかもしれません。一定期間非常に集中する時期を経ないと総論的な理解ができなかったり、理解するレベルから現場で自由に使えるレベルになるまでのギャップが大きいことなどがよく似ています。

会計を学ぼうとして本書を手にした方は、二つに分かれるかもしれません。一つは、会計は有用なツールなのでもっと勉強しないといけないと思う方であり、もう一つは、やはり会計は難しそうなので自分には向いていないと思う方です。

本書は深みがありますが、それだけに初心者には理解が難しい部分があります。全くの初心者の方に小説形式の会計本を勧めるのなら、「女性大生会計士シリーズ」の方がよいかもしれません。やる気がある方であれば本書はよいでしょう。



investmentbooks at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--会計 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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