2009年05月20日
『けっきょく、お金は幻です。』
竹田 和平著 2009年5月20日発行 1470円(税込)
けっきょく、お金は幻です。
著者:竹田 和平
販売元:サンマーク出版
発売日:2009-05-15
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株式投資で有名な竹田和平さんの新刊です。もともとは投資家として知られていた方ですが、最近の本になるにつれて株の話は少なくなっています。本書も投資の話はほとんど出てきませんが、サンマーク出版から出ていることから想像がつく方もいるかもしれません。、
本書はお金やビジネスを中心に、独自の哲学を通じて、人間の生き方とあり方について述べられています。本書の目次は以下の通りです。
- 真実は”あたりまえ”の中にある
- ”人のため”が得の道につながる
- ”心のもちよう”ですべてが変わる
- お金ではなく”徳”をためる時代
章のタイトルからも、株式投資についての本でないことがわかります。
本書に書かれているのは、著者が長年の企業経営と株式投資を通じて至られた、一つの境地とでも言えるべきものです。本を読むと話はよく分かりますが、文字だけでは本当の意味では理解できません。
日常生活における日々の実践が重要なようですが、以下の三つにまとめられています。
- 本気の心
- 「ありがとう」という感謝の心
- わくわくと楽しむ心
手段が目的にもなっているようです。
株式市場における欲望の泥の中で、著者の存在は蓮の花ようなものですが、それだけに本書にある内容は、すべての人がすぐには実践できないかもしれません。
たとえば、著者は「ありがとう」と言い続けることを提唱されていますが、この話を聞いてもすぐには実践できない方も多いと思います。話を聞いてすぐに実践しようと思えること自体が、一つの境地になっています。
株式投資についてですが、株主になる前に、理想的には、アルバイト→従業員→経営者を順番に経験した方がよいのではないかと思います。
株式は企業の有価証券ですが、企業は生身の人間の活動から成り立っています。生身の活動を身体で理解していないと、有価証券はたんにお金を増やすための道具になってしまいます。
もちろん株式はお金を増やすためのツールでもあるわけですが、それ以外の要素をリアルにイメージできないと、著者が本書で書かれているような企業を支える存在としての「旦那」にはなれないことでしょう。
タイトルには「お金は幻」とありますが、お金は幻でもあり、実体でもあります。お金は不足するほど実体としての側面が強くなり、余るほど幻としての側面が強くなります。著者がお金が幻であることを言われているのは、不足感がないからということもあるのでしょう。
東洋思想的には、お金だけではなく、権力、地位、名誉など俗世間的なものすべては幻といえます。これらのものは、エゴが肥大しているほど実体性が感じられますし、エゴが小さいほど幻に感じられます。
本書に書かれていることの本質はエゴを小さくすることであると思いますが、著者はビジネスや株式投資を通じて現在の境地に至られているようです。
本書では、日本的なことのよさについても触れられていますが、ビジネスや株式投資を通じて本書のような境地に至られたことがまさに日本的です。武道や茶道を通じて特定の境地に至ることと同じですが、著者の道は株道とでも言えるのかもしれません。
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この記事へのコメント
以前から読ませていただいていたのですが、本日になってようやく初カキコミする勇気が(汗
竹田和平さん本ですか〜
僕もチェックしたいと思います。
でも、これより先に実践的な本を読んだほうが良いのかしら(汗
突然で、もうしわけないのですが、相互リンクをお願いしたいのです。
こちらからは勝手ながらリンクさせていただきました。
面倒なようでしたら、無視してくださってかまいませんので。
竹田和平さんの本には、テクニカルなことはほとんど書かれていないので、株式投資をする場合にはそれ以外の本も参考にされた方がよいかもしれません。
書評ブログどうしなので、相互リンクの件は了解しました。今後ともよろしくお願いします。