2009年05月25日
『ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている』
松井 政就著 2009年5月20日発行 880円(税込)
ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている (講談社プラスアルファ新書)
著者:松井 政就
販売元:講談社
発売日:2009-05-21
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まえがきの一番最初にありますが、著者は「大変なギャンブル好き」だそうです。本書は、著者の豊富なギャンブルの体験とギャンブルの視点から見た日常生活におけるさまざまな事柄がエッセイ風に書かれています。
タイトルには「ビジネスの知恵」とあり、ビジネスについてもある程度述べられていますが、必ずしもビジネスが話題の中心になっているわけではありません。本書の章は少なく、以下の三つのみです。
- 勝つための攻めの戦略
- 勝つための守りの技術
- 勝つための人の動かし方
本書は著者の実感に基づいて書かれているので、ギャンブルにおける流れの感覚については異なった意見の方もいると思います。たとえば、さいころを振ってある目が続けて出た場合に、次の目はそれまでの結果とは関係ないというのが一般的な考え方です。
また、株式投資はギャンブルであるとも書かれています。リターンを求めてリスクを取るという点では同じ面がありますが、両者の期待値は正か負かということで大きな違いがあります。
本書に書かれているように、たしかにギャンブルには、駆け引きや、リスクテイク、損切り、流れを重視するなど、似ている面はあると思います。
ただし、ギャンブルが好きな人はギャンブルに、ビジネスが好きな人はビジネスにそれぞれ集中しているような印象があります。両者の考え方は重なる点はありますが、両方を極めていると思われる方をあまり見かけないのは、実際には両方を極めるのは難しいのかもしれません。
本書にあるように「ギャンブル好きは人間の本能」ですが、人はリスクを取るときにワクワクします。社会を活気づけるためには、ビジネスにおいて適度なリスクを取れる制度がある方がよいと思います。
ギャンブルは楽しいものですが、ギャンブルの施設があまりにも充実していると、本来ビジネスでリスクを取って楽しむべき感覚が、ギャンブルで満たされてしまうかもしれません。
ビジネスの期待値は正であると思いますが、リスクを取るのが好きでギャンブルに親和性がある方には、ビジネスでもその楽しみを得られるような仕組みや環境ができるとよいと思います。