2009年05月30日

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『日銀を知れば経済がわかる』4

池上 彰著  2009年5月15日発行  777円(税込)

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)
著者:池上 彰
販売元:平凡社
発売日:2009-05-16
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今月から装丁が新たになった平凡社新書の新刊です。日々のニュースでよく目にするにもかかわらず、日銀について平易に書かれた本をあまり見かけないのは、日銀は重要な存在にもかかわらず地味だからかもしれません。

著者は時事的な事柄についての啓蒙書を数多く書かれている方ですが、本書も日銀だけではなく、日銀を中心に金融やグローバル経済についても時事的に解説されています。本書の各章のタイトルは以下の通りです。



  1. そもそも金融とは何か?
  2. 日本銀行は「銀行の銀行」だ
  3. 日本銀行は「政府の銀行」だ
  4. 日本銀行は「発券銀行」だ
  5. 紙幣はいくらでも発行できる?
  6. 日銀はこうして誕生した
  7. 「公定歩合」はなくなった
  8. 日銀の政策委員会とは
  9. ゼロ金利政策で悪戦苦闘
  10. 景気の動向を常に監視
  11. FRBは「アメリカの日銀」
  12. 金融グローバル化時代の日本銀行

日銀は「金利を上げるDNA」があるなどと、批判の対象にされやすい存在になることが多いのですが、景気動向を判断して的確に金利を調整するということは、未来予測的な面を含んでいるので原理的に難しいタスクです。

また、金利の調整が難しい作業であるのは、金利という単一の指標だけで経済を調整することが期待されているからということもあるでしょう。

金利の調整は、女性のスカートの長さで考えてみるとわかりやすいかもしれません。

女性が男性を性的に惹きつけたいときは、身につけるスカートの長さを短くすれば、より多くの男性の注目を浴びることができます。あまり惹きつけたくないときは、丈の長いスカートをはけば男性の注目度は下がることでしょう。

女性にとって景気がよいとき、つまりモテて男性に不自由していないときは、新たに男性を惹きつけるためにスカートを短くする必要がありません。女性にとって景気が悪いとき、つまりモテていないときは、スカートを短くすると男性が寄ってきやすくなります。

スカートを短くするたとえはあまり品がよくありませんが、より品よく考えると化粧や服装を派手にすると考えればよいでしょう。

日銀による金利の調整もそうですが、女性のスカートの調整で難しいのは、それ自体ではピンポイントの影響を与えることができないことです。

日銀が利下げをすると経済が楽になりますが、非効率的な経営をしている企業も楽になってしまい、経済の効率はかならずしも全体によい影響を与えるわけではありません。同様に女性がスカートを短くすると、惹きつけたくない男性まで寄ってきてしまいます。スカートの短さだけでは、好みの男性をピンポイントに惹きつけることはできません。

女性のスカートで考えると、日銀による金利の調整は、スカートの長さを調節することくらいしかできていないことになります。

もしも女性がスカートの長さでしか男性を惹きつけることをコントロールできないのであれば非常に不便ですが、実際は外見だけでなく内面を調整することができます。

ところが日銀は経済の「内面」は調整できません。経済の「内面」を調整するのは、政府による政策です。政府の政策が実現までに時間がかかるのは、内面を磨くのに時間がかかるのと同じです。

女性がどのようにすると最もよい男性を惹きつけることができるかを考えると、おそらく最もよいのは、内面を充実させた上で外見をやや「緩和」すること、つまり軽く男好きのする状態にすることです。

女性と同じように、国の経済にとってよいのは、政策を充実させつつ、金融をやや緩和的にすることなのかもしれません。経済状況にもよりますが、一般的に軽いインフレは望ましいはずです。

とかく批判されがちな日銀ですが、女性のスカートのたとえで考えると、基本的に金利の調整しかできない日銀を責めすぎるのも酷かもしれません。女性は必要以上にはスカートを短くしたくないものです。



investmentbooks at 23:59│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--日本経済 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
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2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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